母親の所有する車を借りて運転していたら、駐車場で隣の車にぶつけてしまったーー。しかも、母の任意保険の対象は父と母だけ。そのような悲劇に直面してしまった男性から、相談が寄せられました。
相談者によると、警察を呼び、自分が加入している任意保険の保険会社に連絡したところ、保険がおりないことと、自身で相手の修理工場と交渉してほしいと言われて、困っているそうだ。
このような場合、どうしたらいいのでしょうか。西村裕一弁護士に聞きました。
●見積もりをもらうことと適切な連絡が大事
ーー自分で交渉する場合、どこに注意すべきでしょうか
運転者を限定している場合、それ以外の人が事故を起こしてしまうと任意保険が使えないということがあります。
この場合、事故を起こしたご自身で相手方と示談交渉をすることになりますが、注意点としては、①相手方からきちんと見積もりをもらう、②相手方への連絡を適切に行うという点が挙げられます。
見積もりをもらわずに話をつけようとしてしまうと、その金額に何が含まれているのかがはっきりしません。物損では、修理代だけでなく代車代なども話し合う必要があるため、きちんと修理の見積書、代車の見積書、レッカーの請求書など、資料をもらった上で話を進めることが大切です。
見積書にはどの部分の部品を取り替えるのか、板金で直すのかなどが記載されています。気になる点があれば、相手方に問い合わせたり、見積りした会社に確認するなどしましょう。
また、事故のお相手としても保険が使えないという状況を不安に思っているはずです。そのため、ご自身で交渉される場合には連絡を定期的に行って、真摯に対応することがとても大切です。連絡を全くしないでいると相手の不安が大きくなって、感情的になってしまう可能性もあります。
ーー弁護士に頼むことでどんなメリットがあるのでしょうか
任意保険が使えないとなると、保険会社に任せることができませんので、ご自身で交渉をすることになりますが、時間的にも負担が大きく、法的にも妥当な請求かどうかなど、知識や交渉に不安がつきまといます。
弁護士に依頼することで、そうした負担や不安を解消して、相手との交渉を弁護士に任せることができるので、その点は大きなメリットになるでしょう。