車やバイクのナンバープレートを曲げる改造車を見かける機会は激減したが、まだ健在のようだ。先日、昔懐かしの改造車を神奈川県内で目撃した会社員のアオイさん(30代・女性)が弁護士ドットコムニュースに話を聞かせてくれた。
アオイさんによれば、その車は後方から大爆音で走ってきた。「(エンジン音が)うるさすぎて耳が痛くなるほどでした。前に止まったその車をよく見ると、ナンバープレートが曲がっていて、ナンバーが読みにくくなっていたんですよ」とアオイさんは話す。アオイさんがこのような改造車を見たのは初めてだったが、職場で話すと、同僚は「ナンバープレートを曲げた車、昔、よくいたよね」と言ったそうだ。
●事情通「二輪車の暴走族だった人たちから始まった文化」
いったい何故、ナンバープレートを曲げているのか。
改造車などに詳しい事情通の男性は、曲がったナンバープレートについて「もともと二輪車の暴走族だった人たちから始まった文化ですよ」と語る。
「警察に捕まらないように、ナンバーの視認性を低める効果を狙って、丸めたり折り曲げたりしていたんです。それが、いつの日か『かっこいい』といわれるようになりましてね。その名残でしょう」(事情通)
今でもその残党たちが車や二輪車のナンバープレートを曲げているらしい。しかし、そもそも、ナンバープレートを曲げる行為は法的に許されるのだろうか。
●「ナンバーが見えない状況にしてはならない」
西村裕一弁護士は、ナンバープレートを折り曲げ、ナンバーを識別することが困難な状態となっている車は「法律(道路運送車両法)に違反している状態といえます」と指摘する。
「自動車の整備については、『道路運送車両法』という法律があり、ナンバープレートに関しては、以下の条文に規定があります。
道路運送車両法19条 『自動車登録番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆(ひふく)しないことその他当該自動車登録番号標に記載された自動車登録番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示しなければ、運行の用に供してはならない』
軽自動車や小型バイクは同様の規定が73条にあります。
つまり、カバーをかけたり、位置を変えたりして、ナンバーが見えない状況にしてはならないということです。
違反した車両を走行させた人は、刑事罰では50万円以下の罰金となっています(同法109条)。行政処分については、免許の点数が2点の減点となっています」
●エンジン音「基準値を超える音が発生していれば、問題あり」
アオイさんは、車のエンジン音が大爆音だったことも気になるようだ。爆音で走る行為に問題はないのだろうか。西村弁護士は「保安基準に適合しない改造を行っていれば、違法となります」と説明する。
「エンジン音についても、道路運送車両法に基づいて保安基準が規定されています。違反すると、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(同法108条)。
マフラーに関しては、国際基準にあわせることになり、四輪車については、車種に応じて『91db〜95db』の上限(平成28年騒音規制)が設定されています(近接排気音測定)。バイクは『84db〜94db』です。そのため、基準値を超える音が発生していれば、問題があります」