東京地検特捜部と警視庁は11月12日、徳田毅・衆議院議員の姉2人と医療法人「徳洲会」グループ幹部4人を、公職選挙法違反の疑いで逮捕した。昨年12月の衆議院選挙で、グループ職員に選挙運動をさせて事実上の報酬を支給したとされ、公選法が禁ずる「運動員買収」を行っていたのではないかとみられている。
報道によると、徳田議員の姉たちやグループ幹部は選挙運動のため、全国の「徳洲会」系列病院の看護師や職員563人を徳田議員の選挙区である鹿児島2区に派遣し、報酬の支給を約束して、戸別訪問やポスター貼りなどの選挙運動に従事させたという。
新聞などでは、逮捕された姉たちが裁判で禁錮以上の刑で有罪になると、徳田議員の当選が無効となる可能性が指摘されている。公選法の「連座制」の規定が根拠だというが、連座制とはいったい、どういうものだろうか。衆議院議員の経験をもつ早川忠孝弁護士に聞いた。
●候補者本人が違反していないのに「当選無効」となる厳しい制度
「連座制は、関係者が犯した選挙違反の責任を、候補者本人に負わせる制度です。これは、選挙違反が常態化している状況の中で、選挙違反をなくしていくための『究極のツール』です。
候補者本人が選挙違反をしたわけではないので、連座制が適用されても、候補者が検挙されたり、刑事被告人になったりするわけではありません。しかし、当選は無効になり、同じ選挙区からの立候補が5年間禁止されることになります」
候補者本人の違反ではないのに、当選が無効になるというのは、一見厳しいようにも思えるが……。
「現実的には、候補者といえども、自分の選挙陣営でどんなことが行われているのか、全てを把握しているわけではありません。しかし、国民の代表者として行動すべき国会議員が、自分の陣営の選挙違反に無関心であっていいはずはありません。
『自陣営が選挙違反を行わないよう注意する義務』を候補者に負わせ、候補者本人が直接違反にかかわっていないから、という言い訳を許さない連座制は、選挙の浄化のために有効な制度だと思われます」
この連座制の対象には、「親族」も含まれるのが特徴と言えるだろう。早川弁護士は親族の選挙違反行為が連座制の対象になる場合について、次のように述べていた。
「候補者の親族(父母、配偶者、子もしくは兄弟姉妹)も、候補者や総括主宰者、地域主宰者と意思を通じて選挙運動をし、買収などの罪で禁固以上の有罪となった場合には、連座制の対象となります。
なお親族の場合、連座制の効果が実際に発揮されるのは、連座制対象者の有罪が確定した後、検察官が『立候補禁止・当選無効』を求めて提起する訴訟において、候補者の敗訴が確定した時点、となります」