2019年04月01日 09時47分

バイト先で殴られた格闘家、「対抗する力あるでしょ」と示談金提示が少額に

バイト先で殴られた格闘家、「対抗する力あるでしょ」と示談金提示が少額に
写真はイメージ(Graphs / PIXTA)

格闘家の知人がアルバイト先で暴力を受けてしまったーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

加害者は、暴力を認め、示談交渉に入っていますが、「暴力に対して対抗を持ち合わせているため」として、少額の示談金を提示してきたそうです。

格闘家の知人は精神的に追い込まれてしまったそうですが、「格闘家だから」という理由で、罪が軽くなったり、示談金や損害賠償の金額を減らされたりする可能性はあるのでしょうか。本多貞雅弁護士に聞きました。

●適切に防御できたとしても、精神的損害の減額要素にはならない

「典型的な示談とは、被害者が一定の金額を受け取って、加害者を許すというものです。ですから、その示談金の額は、加害者を許すために被害者が満足する金額であることが前提となります。

ですから、被害者である格闘家自身が減額に納得する場合であればともかく、加害者側から減額されるいわれはありません」

格闘家として、きちんと防御できた場合はどうなのか。

「確かに、格闘家として適切な防御的措置をとったことにより、怪我の程度が少なくてすんだような場合には、怪我が酷かった場合と比べて示談金の額が低くなることはあり得るでしょう。

しかし、同程度の暴行、同程度の怪我を負った場合に、その精神的苦痛は一般人と格闘家とで合理的な違いを認めることはできません。やはり『格闘家だから』という理由のみで精神的損害(慰謝料)額の減額要素とはなりません。加害者の刑事的な責任についても、被害者が格闘家であるかどうかという事実のみによって変わるものではありません」

もし、反撃して相手に怪我を負わせていた場合はどうなるのか。

「暴行を受けた格闘家が、反撃に打って出た場合には注意が必要です。通常人であれば正当防衛となるような場合も過剰防衛となったり、防衛のための行為と認められずに暴行罪や傷害罪が成立したりする可能性もあります。

この場合には『格闘家だから』という理由で、制裁的な意味合いで刑事的責任が重くなったり、被害者の恐怖が大きかったなどとして精神的損害(慰謝料)額の増額要素となることもあり得るでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

本多 貞雅弁護士
東京弁護士会所属。外国人の権利に関する委員会委員長。ハマースミスの誓い事務局長。裁判員裁判事件や否認事件をはじめとした刑事事件、外国人の入管事件(長期かつ無期限収容問題等)に精力的に取り組んでいる。

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