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「PC持ち込み可でもいいのでは」伊藤真氏と木村草太氏が「司法試験」のあり方を議論
伊藤真氏(左)と木村草太氏

「PC持ち込み可でもいいのでは」伊藤真氏と木村草太氏が「司法試験」のあり方を議論

法科大学院制度の基盤強化や新人弁護士の支援を目指す「ロースクールと法曹の未来を創る会」は12月中旬、司法試験の問題のあり方について考えるイベント「憲法と司法試験と法律家についてちょっとだけ真剣に考える」を開催した。

司法試験予備校「伊藤塾」の塾長である伊藤真弁護士や首都大学東京の木村草太准教授(憲法学)らが登壇。35年にわたり司法試験の受験指導にあたっている伊藤弁護士は「(受験生の)どういう能力を測りたいのか、はっきりしないのが一番の問題だ」と指摘した。

司法試験の論文式試験では、いわゆる「模範答案」は公表されず、出題趣旨や試験委員の採点実感だけが発表される。その点について、伊藤弁護士は「どういう答案が合格答案になるのかわからない。評価がブラック・ボックス」と批判。「採点実感で『こうした記述はするな』と指摘されれば、それを鵜呑みにして、受験生が振り回される」と明確な採点基準を公表することの必要性を訴えた。

●木村草太氏「受験生に何を伝えたいのかわからない」

首都大学東京の法科大学院で憲法の指導にあたる木村准教授も「新司法試験の出題形式は、原告、被告、裁判官のそれぞれの立場から、ひとつの事案について答えをだすという形だが、採点実感に書かれていることは、憲法学者の立場からみても、受験生に何を伝えたいのかわからないことが多い」と疑問を投げかけた。

さらに、伊藤弁護士の指摘は、試験の形式面にも及んだ。司法試験の論文試験は手書きで、1科目2時間の間に、A4の解答用紙8枚に記述する。十分な解答をするためには、短時間で解答をまとめて、書く作業に時間を割く必要がある。

伊藤弁護士は「試験委員たちは、手書きで2時間書き続ける作業をしたことがあるのだろうか。実務家登用試験であれば、パソコンを持ち込んで打ち込む方法でもいいはず。米ニューヨーク州の司法試験ではパソコンで答案を作成することができる。日本の司法試験は、手の筋力、体力を測っているのだろうか」と皮肉を述べた。

そのうえで「問題自体はとても練られた問題だが、受験生のどういう能力を測ろうとしているのか見えない。どういう能力を鍛えてほしいのか、メッセージを受験生に発信してほしい」と訴えた。

このイベントに先立って、10人の弁護士が事前に今年の司法試験の憲法の論文試験を解いた。イベントで配布された結果では、100点満点で、50点以上が5人だった。最高点は80点で、最低点は10点。採点は伊藤弁護士が担当した。

(弁護士ドットコムニュース)

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