若い女教師と放課後に「禁断の授業」――思春期のころ、そんな妄想をいだいたことがある男性もいるのではないだろうか。だが、妄想が現実になると、大きな問題に発展してしまうようだ。
アメリカのケンタッキー州で、教え子の少年(13)と肉体関係をもった女教師(26)が「強姦」の罪で起訴され、懲役12年の判決を言い渡されたのだ。報道によると、女教師は、少年と6週間にわたって性的関係を持ち、性交したことを認めたという。ただ、少年はその教師について「自分の恋人だった」と述べているそうだ。
日本で同じような出来事が起きた場合、女教師が罪に問われる可能性はあるのだろうか。刑事事件にくわしい冨本和男弁護士に聞いた。
●児童福祉法違反の可能性
「まず、刑法上の問題点を検討しましょう。今回のアメリカのケースでは、強姦の罪で有罪となっているようですが、日本では、強姦の被害者は女性のみと規定されています。そのため、教え子が男の子であれば、女教師に『強姦罪』は成立しません。
しかし、相手が男の子で、その同意があったとしても、教え子が13歳未満であれば、女教師に『強制わいせつ罪』が成立します」
今回のケースだと、少年の年齢は13歳なので、「13歳未満」ではない。そして「同意」もあったとみられる。したがって、日本では、刑法上の罪には問われないようだ。他の法令はどうだろうか。
「児童福祉法違反で、罪に問われる可能性があります。
児童福祉法は、自分の地位などの立場を利用して、満18歳に満たない児童に淫行(性交や性交類似行為)をさせる行為を禁じています。違反したら、10年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金に処される可能性があります。その両方が科される可能性もあります。
したがって、教師と生徒という関係であれば、13歳の少年と性交すれば、児童福祉法違反で処罰される可能性があります」
●条例で処罰される可能性
わいせつ関連のニュースでは、条例違反のケースが目に付くが、今回の場合もそうなるのだろうか。
「都道府県の青少年保護育成条例も、青少年に対する淫行を処罰しています。
東京都であれば、『東京都青少年の健全な育成に関する条例』が青少年とのみだらな性交と性交類似行為を禁止しています。
この『青少年』も満18歳に満たない者をいいます。違反した場合の罰則は『2年以下の懲役または100万円以下の罰金』です。
児童福祉法、青少年保護育成条例ともに、教え子が同意していたとしても成立します。判断能力・身体能力の未熟な児童・青少年を保護するための規定だからです。
このほか、お金をあげたり、あげる約束をして教え子である児童と性交・性交類似行為に及んだ場合、児童買春という罪にあたる可能性があります」
冨本弁護士はこのように分析していた。