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「私も好き」告白の返事がエイプリルフールのウソだった!――何を言っても許される?
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「私も好き」告白の返事がエイプリルフールのウソだった!――何を言っても許される?

今日はエイプリルフール。ネット上を飛び交う情報も、何が本当で、何がウソなのか分からず混乱してしまいそうだが、なかには「好きな人にガチ告白したら最悪の展開になった」というツイートもあり、話題を呼んだ。

ツイートによると、投稿者は意中の女性にLINEで告白したところ、「ウチも好き。」とOKをもらって喜んだ。ところがその後、女性から「え、エイプリルやろ」と衝撃の返事。女性は告白をエイプリルフールのネタだと考えて、「ウソのOK」を出したそうだ。もはやこのネタ自体が本当かウソか分からないが、本当だとしたら悲劇としかいいようがない。

また、大勢の人をだます迷惑な「ウソ」も物議を醸した。

たとえば、「エイプリルフールだから119に電話して『家が燃えてます』って言ったら消防車がいっぱい来た」というツイートが話題となった。後に投稿者が、この投稿自体がエイプリルフールのウソだったことを告白した。

また、「秋葉原にサリン撒きます#拡散希望」というツイートをした投稿者もいた。この投稿者は、後でツイートがエイプリルフールのネタだったと釈明したが、「不謹慎」「通報した」と批判が多く寄せられた。

今日に限り、こうした「ウソ」はいくらついても、法的な問題が生じないのだろうか。人を傷つけたり、騒ぎを起こしたりしても、「エイプリルフールのウソでした」と言えば済むのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。

●威力業務妨害や名誉毀損の可能性も

「エイプリルフールだからといって、どんなウソでもついていいわけではありません」

西口弁護士はキッパリと述べる。

「いくらエイプリルフールでも、ウソが法的に許容されるには、社会通念の範囲内であることが必要です。つまり、常識的に考えて『それはダメでしょ』というようなウソをついてはいけません。

たとえば、『どこそこに爆弾を仕掛けた』といったウソをつけば、付近の住民が避難したり、警察が出動する事態となるでしょうから、威力業務妨害罪に問われることになります。

また、『●●は犯罪の前科がある』なんてウソをつけば、名誉毀損罪に問われる可能性もありますし、民事上も損害賠償責任を負う可能性があります」

「エイプリルフールだったから」という言い分は通らないのだろうか。

「ことが起こった後で『エイプリルフールだったから』などといっても、法的に見れば、言い訳にはなりません。

もしそんなことが認められたら、4月1日は『犯罪し放題の日』ということになってしまいますからね」

西口弁護士はこのように指摘したうえで、次のように述べていた。

「昔と違い、個人でも、SNSを通じて簡単にウソの情報を拡散できます。ウソが発端となって起きる混乱の規模も比例して大きくなっています。

ジョークを楽しむ心はもちろん大切ですが、他の人を傷つけたり、犯罪に当たるようなことにならないよう注意ほしいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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