タレント仁科仁美さん(30)の「妊娠」をめぐり、騒動が起きている。女性セブン3月26日号が、仁科さんの相手である14歳年上の実業家男性が「認知はするが結婚はしない姿勢」だと報じたのだ。
実兄で俳優の仁科克基さん(32)は、スポーツニッポンの取材に応じ、この男性について「じゃあ、なぜ妹を妊娠させたのか。メチャメチャむかつく。生まれてくる子供がかわいそう」などと話し、怒りをあらわにしたという。
女性の妊娠をきっかけに結婚する、いわゆる「でき婚」はよく聞く話だ。では、一般的な問題として、女性を妊娠させた男性は、その女性と結婚するべきだいう「法的な義務」があるのだろうか。堀井亜生弁護士に聞いた。
●「結婚の義務」はない
「妊娠・出産した女性は、父親である男性に対して、生まれた子供の『認知』を求めることと『養育費』を請求することはできます。
しかし、女性を妊娠させた男性に、結婚しなければならない義務はありません。
結婚は、双方の意思の合致によりなされるものです。一方に結婚の意思がない場合、結婚を強制することはできません。また、法律上、『結婚せよ』と強制する手段もありません」
●「婚約」していれば・・・
「ただ、もし2人が『婚約していた』としたら話は別です。婚約者が、正当な理由もなく『やっぱり結婚しない』と言い出した場合、もう一方は『婚約破棄された』として、慰謝料を請求することができます。
いったん『婚約』が成立すると、2人はお互いに誠意をもって交際し、夫婦の共同体を成立する義務を負います。そのため、勝手な事情で婚約を破棄すると、契約違反として損害賠償を請求することができるのです」
このように堀井弁護士は説明する。では、どういう場合に「婚約」があったといえるのか。
「『婚約していた』と裁判で認められるためには、お互いに結婚の意思があることが必要なのはもちろんですが、それが単なる口約束のレベルに止まっていると厳しいです。より踏み込んだ事情・・・たとえば親への紹介、結納、婚約指輪の交換を済ませているとか、結婚式の予定が決まっている、といったことが必要ですね」
●「でき婚」は?
正式に「婚約」まで至ったら、一定の法的な責任が生まれる。しかしそれでも、「やっぱり結婚しない」と片方が決めたら「その意思に反して無理矢理結婚させる」ことまではできないわけだ。
「そうですね。余談ですが、女性の側がいわゆる『できちゃった結婚』を狙って、婚約前に子供を作ろうとするケースがあります。でも、さきほど話したとおり、妊娠させたからといって、それだけで、男性に結婚する義務はありません。また、結婚するように法律上強制する手段もありません。この点、思わぬ落とし穴があるので、注意が必要です」
堀井弁護士はこのように指摘していた。