酷暑の中、外で活動せざるを得ない仕事に従事する人たちの間で、暑さ対策としてサングラス着用が広がっています。
熊本城は6月12日、公式サイトでスタッフがサングラスを着用する場合があると発表しました。この発表はXで拡散され、「紫外線対策は必須!」「外仕事ではサングラスをつけるべき」「こういうのがもっと広まればいい」といった賛同の声が多数上がっています。
かつては「威圧感がある」「マナー違反」と批判されることもあったサングラス着用ですが、今なぜ必要とされているのでしょうか。熊本城総合事務所に取材しました。
●熊本城駐車場は「体感気温40℃超」
熊本城でスタッフがサングラスを着用し始めたのは、6月からです。熊本城総合事務所の担当者は「直射日光の乱反射による各種事故の防止や、紫外線による目の健康被害を防ぐためです」と説明します。
気象庁のデータによると、昨年の熊本県の最高気温月平均は、7月で33.2℃、8月で36.2℃、9月でも34.3℃と酷暑が続きました。
「昨年8月は雨の日を除き、ほとんどの日で猛暑日となっていました。駐車場などのコンクリート等の照り返しがある場所では、体感温度は40℃以上になると思われます」(担当者)
今回、公式サイトやSNSで発信した理由については「熱中症対策は世間に浸透してきていますが、サングラス着用は一部に不自然に感じる方もいるため、事前にお知らせを出すことで理解を得たいと考えました」と説明しています。
発信後には「賛同の声を多くいただいたように感じています」とし、これ以外の暑さ対策については「日差しを少しでも避けるためパラソル設置や、着席での案内のほか、スタッフには空調服、冷却グッズ、水分補給を用意しています」としています。
熊本城(M8 / PIXTA)
●警察や警備業界で広がるサングラス着用
サングラス着用の動きは、全国で広がっています。かつては白バイ隊員のみに許されていたサングラスですが、警視庁は昨年から、屋外活動の多い警護課員(SP)や機動隊員の着用を認めています。
報道によると、これは警察庁から通達を受けて決まったもので、全国の警察で着用が進んでいるとのことです。
さらに、今年4月には全国警備業協会が「警備業務におけるサングラス着用ガイドライン」を公表しました。ガイドラインでは、次のように目的が説明されています。
「近年、年平均気温が上昇し、夏季において猛暑日が年々増加しており、また、紫外線が人体に及ぼす影響についても注目されている。このような状況において、警備業務に従事する者が年間を通じて紫外線から目を保護し、安全かつ効果的な警備業務が遂行できるよう、サングラスの着用に関するガイドラインを定めるものである」
さらにサングラスの規格や仕様についても「警備員として品位を損なわないものであって実用的なもの」とし、派手な色や大きなロゴが入ったタイプは着用しないとされています。
かつての「マナー違反」とも言われたサングラス着用ですが、今後は「命を守る新常識」として定着していきそうです。