成人の日に集団で暴走するなどの光景は、“荒れる若者”の代表例として、また社会問題として話題になってきた。近年減少傾向にあるなどとも報じられているが、まだまだゼロではないようだ。
1月12日に成人式をおこなった宮城県仙台市では、違法改造車両の取り締まりを実施していた男性警察官の胸を両手で突き飛ばしたとして、男性(19)が職務の執行を妨害した疑いで逮捕された。
SNSでも、各地での成人の日の荒れた様子をうつした画像や動画が複数投稿されていた。
「今年の沖縄の成人式荒れすぎて昭和みたいww」というXでの投稿は、自動車やバイクの集団が爆音を出しながら、大通りの交差点で信号の表示に構わず円を描くように“暴走”している様子を捉えた動画とともに拡散され話題に。
この投稿には「笑えない」「観てるだけで恥ずかしくなる」「時代遅れすぎる」など批判的な意見が多く寄せられていた。動画の車に乗っていた若者がオープン仕様の車で走行中に立ったり高い位置に座っていたことから、「自分たちも危険に晒されているのがわからないのだろうか」といった声もあった。
“暴走する”当事者にとっても周囲の人間にとっても危険な行為に違いないが、具体的にはどのような違反行為に該当するのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。
●共同危険行為等に該当「悪質な場合は正式起訴もありうる」
──話題となった動画での暴走行為は、具体的にはどんな違反に該当するのでしょうか。
いわゆる暴走行為は道路交通法上「共同危険行為等」として禁止されています(同法68条)。
共同危険行為等とは、2人以上の自動車(オートバイを含む)または原動機付自転車(原付)の運転者が、2台以上の自動車または原付を連ねて通行または並進させて、共同して著しく道路における交通の危険を生じさせる、または他人に迷惑を及ぼす行為をいいます。罰則は2年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の3)。
かつては実際に迷惑を被った者や危険に遭った者がいないと違反にならず取り締まりができませんでしたが、2004年の道交法改正で、現在のように実際に被害者が出ていなくても交通の危険を生じさせれば取り締まれるようになりました。
最近でも渋谷のスクランブル交差点で消火器を噴射しながらバイク2台で暴走した事件で、運転者が共同危険行為(無免許運転含む)で逮捕されています。
──共同危険行為等で取り締まられたら、実際に起訴される可能性はどの程度あるのでしょうか。
共同危険行為等の法定刑には罰金刑があるので、初犯で被疑事実を認めた場合には略式起訴で罰金刑となる可能性が高いです。
これに対し、前科の有無、暴走行為の回数、行為態様の悪質性によっては正式起訴される場合もあると思われます。
特に共同危険行為等は免許取消事由(欠格期間2年間)になっているので、一度検挙されて無免許となった後で再度、共同危険行為等を行った場合には悪質として、無免許運転罪とともに正式起訴される可能性が高いと思われます。