「いやぁぁ!」と叫ぶ女性の声、ベッドが軋む音…近隣の夜の営みにまつわる騒音への悩みが、弁護士ドットコムに複数寄せられている。
聞こえてくる音が音だけに、“騒音主”に注意することを躊躇する人もいるようだ。警察や管理会社などに頼んでも改善せず、体調不良になったり、眠れなくなったりしたとの嘆きもある。子持ちの相談者からは「子どもへの悪影響」を心配する声もあがる。
いったい、どんな音が聞こえてくるのか。
●「中年女性の喘ぎ」と「ヒューイ」との奇声
相談者の一人は、隣に住む男女の“最中”の声が原因で不眠になり、幻聴が聞こえるようになったという。
「休日は朝6時から夜中2時ぐらいまで営んでいるようです。中年女性の喘ぎ声と男性の度重なる『ヒューーーーイ!』との奇声に悩んでいます。最近は、遠くから聞こえる犬の鳴き声が喘ぎ声に聞こえたり、2人がいないはずの職場で思い出したりすることがあります」
上階に住む女性の声に悩む人も。「たびたびやってくる男性と営んでいる。衝撃音や声に耐えられない状況」だという。さらに、痴話喧嘩の声まで聞こえ、男性が「既婚者」であることまで発覚したようだ。
子どもがいる家庭では特に、事態が深刻だ。ある一家は、隣の部屋から「ズンズンと響く重低音の音楽」と「壁をドンドンと叩く音、女性の喘ぎ声」が聞こえてくるという。「ベッドが壁にぶつかる音で子どもも目が覚めてしまう」と悩んでいる。
他にも、次のような投稿が寄せられている。
「隣には新婚ホヤホヤの夫の上司とその妻が住んでおり、毎晩のように声が聞こえてきます。小さな娘に聞かせたくありません」 「3歳の子どもと暮らしています。隣には夫婦と子ども3人が住んでおり、頻繁に聞こえてくる声に悩んでいます。夜だけではなく平日の朝方や休日の昼間もしているようで、子どもの耳にも入ってきます」 「昼間から大音量でアダルトビデオを流している近隣住民がいます。遠くからでも聞こえますし、子どもたちへの悪影響が懸念されます」
●部屋が揺れている人も…
音だけではない。振動に悩む人もいる。
「ほぼ毎日、真上に住む夫婦の部屋から長時間大きな喘ぎ声や最中の床や壁を叩く音、バイブレーターの振動音が聞こえ、私の部屋がときどき小刻みに振動しています。騒音で目が覚めることもあり、度をこえた性生活だと思います」 「最初は隣の部屋からベッドの軋む音が聞こえていたのですが、床での行為に移行したようです。ドスドスという音が聞こえ、振動まで伝わってきます」 「隣に住む女性のもとには、昼夜問わずにかわるがわる別の男性が訪れます。ベッドがドンドンと壁に当たる音や声が聞こえます。振動で棚の物が落ちて壊れたこともあります」
このような問題への解決策はないのか。そもそも、喘ぎ声を不特定または多数の人に聞こえるようにすることは、犯罪にあたらないのか。
「公然とわいせつな行為」をした場合は「公然わいせつ罪」が成立するが、ここにいう「わいせつな行為」に卑猥な言語等が含まれるとする見解もある。その見解に立てば、実際に検挙されるかは別として、犯罪にあたるとみることもできるかもしれない。
慰謝料などを求めて民事裁判を起こす方法もある。受忍限度(我慢できる程度)をこえる音と認定されれば、損害賠償請求が認められる可能性はゼロではない。ただし、証拠を集めるなどの労力を要するうえに、相応の時間がかかることなどを考えると、現実的ではないだろう。
「警察を呼んだが、見回りに来ただけだった」「管理会社に5度注意してもらったが、まったく改善されない」といった声もあるが、当事者同士の直接の話し合いはトラブルに発展するリスクがある。平穏な日常や自身の健康のために、引っ越しも視野に入れつつ、警察や管理会社以外に住宅紛争審査会など、法律家を含めた第三者に相談するのも一つの手だろう。