宝塚歌劇団で、劇団員の女性が亡くなった問題をめぐり、日本外国特派員協会で記者会見した映画監督の北野武さんが11月15日、日本の芸能界に根深く残る「厳しい上下関係」や「パワハラ」を指摘した。
北野さんは「今の日本は入れ替え時」として、昔にくらべてパワハラが少なくなってきているが、それでも「日本は特に激しいのではないかと思う」と述べた。
●「新しいエンターテインメントの形ができつつある」
宝塚歌劇団で今年9月に女性が亡くなったことをめぐり、遺族は、過酷な長時間労働とヘアアイロンを額に押し当てたり、暴言を吐いたりするなどの上級生によるハラスメントが理由だと主張している。
劇団側は11月14日、遺族に謝罪したものの、ハラスメントについては確認できないとして否定した。
北野さんは記者会見で、宝塚歌劇団をはじめとした日本における厳しい上下関係の存在を指摘した。
「宝塚のように、ある時期から学校を作るようになって、生徒として芸を習う風潮ができた。パワハラというのは少しはあるけど、前ほどひどくない」
古典芸能の世界ではいまだに「作法とか礼儀に非常にうるさかったり、自分が良い役をもらう・もらえないという競争の中でのプレッシャーが残っている組織もある」とする。
北野さんは映画やテレビなどの世界では、求められるコンテンツが増えたことから、人がやめることが問題になったことで、パワハラがなくなってきたと説明。「今の日本は入れ替え時というか、そういうのがそろそろなくなりかけて、新しいエンターテインメントの形ができつつある」と語った。
しかし、芸能界に限らずパワハラは根絶できていないとして「ある分野では相変わらず、先輩・後輩の関係においての無理難題とか、大学や高校の運動部とかでも必ず出てくる問題で、日本はそれは激しいのではないかと思う」と述べた。
北野さんは監督・俳優をつとめた新作映画『首』の公開(11月23日)を控えており、日本外国特派員協会の記者会見に臨んだ。