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弾劾裁判の岡口判事、元法相・山下裁判員の交代求めて申し立て「中立ではない」
会見する岡口判事側の弁護団(2023年11月1日)

弾劾裁判の岡口判事、元法相・山下裁判員の交代求めて申し立て「中立ではない」

裁判当事者らへの不適切なSNS投稿などを理由とした仙台高裁の岡口基一裁判官(職務停止中)の弾劾裁判で、岡口判事側は11月1日、裁判員の山下貴司議員(衆・自民)が中立ではなく、不公平な判断をするおそれがあるとして忌避を申し立てた。弾劾裁判での裁判員の忌避申し立ては3例目で、過去2件はいずれも却下されている。

山下議員は、法務大臣も務めた検察官出身の弁護士。弾劾裁判では国会議員が検察官役の訴追委員会と、14人の裁判員とを構成するが多くは法曹資格を持たない。訴追委や裁判員が、弁護側からの異議など、イレギュラーなできごとに対応できず、進行が止まったり、傍聴席から苦笑が漏れたりする場面が度々あり、数少ない法曹有資格者の山下議員の存在感は大きい。

申立書によると、山下議員は10月25日の第10回公判で、証人の立命館大・松宮孝明特任教授(刑法)に対し、上村千一郎『新訂版裁判官弾劾法精義』(1981年・敬文堂)の一節を長文朗読した上で、なぜ主尋問でこの部分に言及しなかったのかと「あたかも訴追委員がするような」補充質問をした。

弾劾裁判では、問題とされた岡口判事の行為の中に、訴追期間の3年が経過しているものがあり、審議の対象になるかが争点となっている。訴追委は冒頭陳述で上村氏の書籍を引用しながら、岡口判事の一連の行為は一体のものと捉えられると主張。対する弁護側は訴追委側の解釈は誤りであると反論し、松宮教授を証人請求した経緯がある。

期日では、山下議員のこの質問に対し、弁護側から上村氏の著書は訴追委も弁護側も証拠請求すらしていないとして、丸々引用することは不適切だと異議が唱えられた。裁判長の船田元議員(衆・自)も山下議員に質問の仕方を変えるよう指示した。

さらに申立書によると、岡口判事の弁護人が、期日終了後の廊下で山下議員が他の裁判員に対し「あれは弾劾証拠だ」という旨の発言をしていたことを聞いたという。

弾劾証拠とは、証言の信用性を下げるための証拠のこと。申し立て後の記者会見で、弁護団は山下議員について「裁判所が独自に証拠を集めて判断してはいけない」、「裁判員が証人の信用性を下げる質問をおこなったのは中立とはいえない」などと指摘した。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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