テイクアウトのうどんを注文したら、利用していない容器代を上乗せした料金を請求された——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者は、よく利用するうどん店で、店側のテイクアウト用容器ではなく、「タッパーを持参して、麺のほかにネギや天かすを入れてもらってます」といいます。
しかし、精算時に容器代として「30円」が計上されていました。相談者によると「おしながきに『容器代』と明記されていた」ようですが、容器の提供を受けなくても請求されたそうです。
納得がいかない相談者は、この30円を支払わないといけないのかと疑問に感じているようです。法的にはどうなのでしょうか。鈴木淳也弁護士に聞きました。
●容器代記載なら「料理とは別の売買目的物」と考えるのが自然
——テイクアウト用の容器を利用していないにもかかわらず、容器代として一律に30円計上された場合、支払わなければいけないのでしょうか。
このうどん店における店と客との間の契約は売買契約であると考えられます。売買契約は、申し込みと承諾により成立します。
おしながきには料理(商品)の料金とは別に容器代として30円と記載されていて、店の用意した容器を用いずにテイクアウトが可能なら、店提供の容器は「料理とは別の売買目的物」と考えるのが自然です。
したがって、客が店に対し、テイクアウトで料理を注文し、かつ持参した袋に入れるよう伝えた場合、容器については購入申し込みをしていないこととなり、客は容器代金の支払い義務を負わないと考えられます。
——容器を提供していないのに容器代を含んだ代金を請求する店側の主張は、法的にどのような意味がありますか。
客からのうどんの購入申し込みに対し、料理代金に30円を加えた金額でないと申し込みを承諾しないというものだと考えられます。店から客に対し30円加えた金額であれば売るという旨の売買契約の申し込みがなされたともいえます。
この場合、客が30円加えた金額での購入を承諾しない限り、法的には売買契約は成立しません。売買契約が成立しないのであれば、店としてはうどんの提供を拒否することとなりますし、客はうどん代金の支払い義務も負いません。
——今回のようなトラブルを避けるためには、店としてはどう対応すべきでしょうか。
法的な観点で説明すると前述のとおりですが、現実的には店か客のどちらかが折れて事を収めるのが通常でしょう。
このようなトラブルを生まないために、店としては、店側の提供する容器以外でのテイクアウトを認めないようするか、容器代といった記載をせずにテイクアウトの場合は一律1商品につき30円上乗せした金額になるという表示に改めるなど、誤解を招かない記載にするべきでしょう。