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自転車店で空気入れサービス終了、背景に横暴客の存在 「コンビニでパンの袋を開けて食べるようなもの」
空気入れ無料サービス終了のポスター/ちいさな自転車家の公式サイト

自転車店で空気入れサービス終了、背景に横暴客の存在 「コンビニでパンの袋を開けて食べるようなもの」

マナー違反の客に業を煮やした自転車店が、開業から5年続けていた「無料の空気入れサービス」を終了すると発表して、SNS上で大きな話題になった。

身勝手な利用者によって空気入れを壊されたり、未開封の商品を勝手に使われたりすることに耐えかねたという。店は「多くの同業者もサービスをやめたり、有料にしている」としている。

販売店でつくる組合は「一部の客の身勝手な行為は、いずれ客全体の首をしめることになる。残念です」と客のモラル向上を呼びかけた。

●話題を呼んだ投稿

話題になったのは、愛知県名古屋市の「ちいさな自転車家」による9月26日のポスト。

「空気入れ無料」と「ポンプ貸し出し」を当面の間、終了すると発表した。

困っている人を助けるために始めたサービスだというが「あまりにも身勝手な方が増えております」と説明。空気入れを壊されるだけでなく、商品まで開封して使われるケースがあったという。

今後は購入者や高齢者などに限ってスタッフが空気を入れる考えだ。「ちいさな自転車家」の店長が取材に応じた。

●舌打ちされたり、勝手に商品を開封されたり…

店長によると、開業時から空気入れの無料サービスを始めたのは、客とのコミュニケーションや、空気不足によるパンクリスクを防いでもらうこと、消耗品の案内や点検につながる期待といった「認知向上と商機」にあったという。

一方で、デメリットもあった。

「お金を払って依頼されているお客様のため、納期のある『現在の作業』にあたっています。その作業の手を止めて、空気入れの説明をしなければなりません」

そうした事情から、スタッフがコンプレッサーで入れる当初の運用を変更し、店頭に空気入れ(フロアポンプ)を置いてセルフ形式で貸し出していた。

ところが、貸し出しをもとめる人の中には、他の客対応などの事情によって、今すぐ空気を入れられないことを伝えられると「舌打ちして帰ったり、それでも構わずに『すぐなんだから入れろ』と言ってきたりする」(店長)ようなカスハラ気質の身勝手な人もいたそうだ。

また、使用方法がわからないのに無理やり使ったり、乱雑に扱ったりして、壊してしまう人にも苦慮する中で、「いつの間にか誰かが貸し出し用ではない商品のフロアポンプを開封して、使用していた」という事態の発生をきっかけとして、ついに無料サービスの中止を決心した。

●無料サービスなくなるよ…自転車店の組合「悲しいこと」

店長によると、周囲の同業者の多くが「すでに有料」あるいは「サービス自体をおこなっていない」という。

「自店で購入されたお客様に限ったサービスとなっているようです。自転車屋に限らず多かれ少なかれ、類似した無料のサービスは減っていくのではないかと思います」

店長は「こういったサービスは果たして良いものなのか。こういったサービスでその店を評価すべきなのか。サービスを受ける側にこそ考えてもらいたいです」と利用者に呼びかける。

販売店などで構成される「愛知県自転車モーター商協同組合」(名古屋市)は、今回の問題を受けて「新品を開けるような事例は聞いたことがない。コンビニでパンの袋を開けて食べてしまうようなもの」と驚く。

「これは使う側、客側のモラルの問題だと思う。モラルのなさがあまりに目につくようになれば、空気入れを使わせない店も出てくるだろう。客は自分で自分の首をしめることになる。一部の方の非常識のせいでそうなるのは悲しいこと」(組合)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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