東京都は、10月1日を「都民の日」としています。上野動物園や東京都美術館、浜離宮恩賜庭園など都の施設が無料公開されるほか、水の科学館で記念品を配布するなど行事をおこなう施設もあります。
また、都立および市区町村立の小・中・高校は「休み」とする場合、各自治体の教育委員会が定める「管理運営規則」で決められています。ただし、最近は授業日数を安定的に確保するため、墨田区のように例外としている自治体や学校もあるようです。
平日が「休み」というのは学生にとっては特別感がありそうです。ただ、全国では必ずしも「都道府県民の日」を条例で定めているわけではなく、都道府県単位で休業日としている自治体はさらに限られます。
愛知県は2023年から11月27日を「あいち県民の日」とし、公立学校で11月21日から27日までの「あいちウィーク」期間中の1日を休業日とする「県民の日学校ホリデー」を開始します。名古屋市も11月24日に実施予定ですが、名古屋市の河村たかし市長が「名古屋市は愛知県の植民地ですか?」と反発するなど話題となりました。
全国の「都道府県民の日」事情はどうなっているのか。調べてみました。
●都道府県の記念日が「休み」になるのは関東だけ?
「県民の日」「ふるさとの日」「みんなの日」などの記念日を条例で定めている都道府県は「17都道県」で、全国47都道府県の半数未満です。
関東地方1都6県は神奈川県を除き制定している一方、愛知以西の近畿・中国・四国・九州地方では三重・和歌山・鳥取・鹿児島の4県しかありません。
記念日を「休み」にしているのは、茨城・群馬・埼玉・千葉・東京・山梨・愛知とわずか7都県で、愛知以西はゼロです。愛知県は今年から実施なので、「都道府県民の日は休業日」として認識されてきたのは関東周辺のみということになります。
●条例では定めずに「記念日」設けている自治体も
自治体によっては、条例では定めずに「記念日」を設けているところもあります。
たとえば、秋田県では、県が誕生した8月29日を「県の記念日」としています。1965年に設けて以来、記念事業や県有施設の無料開放などをしています。
愛媛県では、2月20日が「愛媛県政発足記念日」。「知事表彰要綱」を定め、県行政の振興に特に顕著な功績がある人をこの日に顕彰しています。
●さいたま市には「年2回記念日休み」がある
都道府県ではなく、市町村が記念日を定めているケースもあります。
20ある政令指定都市(人口50万以上)では、さいたま・横浜・川崎・千葉・岡山の5市に「記念日」があります。
県民の日を定めていない神奈川県ですが、横浜市には「開港記念日(6月2日)」、川崎市には「市制記念日(7月1日)」があり、いずれの記念日も市立学校(一部を除く)は休業日になっています。
千葉市には「千葉市の市民の日(10月18日)」、岡山市には「岡山市民の日(6月1日)」がありますが、学校の休業日とはなっていないようです。
特筆すべきは「さいたま市」でしょう。5市で唯一、条例で「さいたま市民の日(5月1日)」を定めていることも目立ちますが、市立学校の休業日とされているため、さいたま市内の小・中学生には、県条例で定められている「埼玉県民の日(11月14日)」とあわせて「年2回」記念日休みがあるのです。
さいたま市民の日はゴールデンウィーク中の5月1日ということもあり、市内の小・中学生にとっては、より「大型」な連休と感じるかもしれませんが、記念日の休みは「国民の祝日」ではないため、土日と重なっても振替休日にはなりません。現在の暦と祝日設定では、4月30日と5月2日いずれかが平日となるので、GW前半と後半がつながる機会は基本的になさそうです。
ちなみに、今年の都民の日(10月1日)は「日曜日」。振替休日もないため、休校日は増えませんが、家族で都の施設を訪れたり、記念行事に参加するには良いかもしれません。