東京メトロ千代田線に乗り入れるJR常磐線各駅停車の亀有・金町駅を使う住民が両社と国を相手取り、不当な運賃を取られているとして3者に2万6980円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が1月13日、東京地裁であった。JR東、メトロは請求棄却を求める答弁書を提出、国交省は2月末までに追って主張するという。
●JR、「不当」の主張に激しく反論
JR側は答弁書の内容から「重要な部分を口頭陳述したい」と申し出、吉岡雅史弁護士が「2社を乗り継ぐから運賃が併算される。端的にそれに尽きる」と説明。JR1社だけより高くなるのは「ごく一般的な仕組みで、不当な運賃というのは法律的におよそあり得ない」と述べた。
傍聴した原告からは「まったく噛み合っていない。JRの都合で勝手に乗り入れしたのに、そこを見ていない」との声が上がった。原告側の中村忠史弁護士は「そもそもの制度設計の問題です。そこを主張していきます」と意気込んだ。次回の口頭弁論は3月15日午後2時に東京地裁で開かれる。
●原告、50年の思いを込め意見陳述
この日は、原告を代表して「亀有・金町の鉄道問題を考える会」代表世話人の松永貞一さんも約3分間、傍聴席や裁判官に目を配りながら力強くこう意見陳述をした。
「幼稚園の頃から70年近く常磐線を利用してきました。学生のころは上野まで乗り換えなしで18分で行けましたが、1971年の乗り入れで23〜25分かかるようになりました。北千住での乗り換えは地下2階から地上2階まで行かなければなりません。直通のエスカレーターもエレベーターもありません」
「割高運賃など不利益が押し付けられています。原告の一人、87歳の年金生活者は浅草橋まで定期的にいくのに、西日暮里乗り換えで470円かかります。JRだけなら220円で、2倍以上です」
「20年前にもJRなどに質問状を出しましたが、納得いく回答ではありませんでした。今回、提訴前に再度3者に要望書を送りましたが、回答は同じでした。見通しが甘かったという制度設計の誤りです。裁判所には公正な判断をお願いします」
●スライドで振り返る問題の構図
弁護士ドットコムニュースの記事「常磐線の『不当運賃』問題 50年の時を越え司法の場へ 鉄道工学の専門家が解説」より抜粋