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「裁判記録、安易に捨てないで」少年事件記録の廃棄受け、最高裁に請願
共同代表の3人。左から江川さん、塚原弁護士、福島至龍谷大名誉教授

「裁判記録、安易に捨てないで」少年事件記録の廃棄受け、最高裁に請願

「神戸連続児童殺傷事件」など有名な少年事件の記録が廃棄されていた問題を受け、弁護士や報道関係者らでつくる「司法情報公開研究会」が1月13日、最高裁に再発防止に向けた請願書を提出した。

提出後の記者会見で、同会共同代表でジャーナリストの江川紹子さんは「事件記録は国民共有の知的資源。安易に捨てないでほしい」と訴えた。

●裁判所に欠けた「裁判記録=歴史的な資料」

近年、裁判記録や少年事件の記録廃棄が相次いで問題になっている。

同会共同代表の塚原英治弁護士は、「担当者(裁判所書記官)がとんでもないことをしていたのではなく、裁判所の指示のもとのルーティンワーク」だと説明。個人ではなく、仕組みの問題だと強調する。

同会は、記録が捨てられ続けた原因は、裁判所が「裁判記録=歴史的な資料」という認識を欠き、限られた保管スペースを空けるため「記録は原則廃棄」という方針を取り続けたことにあると指摘している。

●記録はいつ必要になるか分からない

その上で、請願書では最高裁に大きく以下の4点を求めた。

(1)最高裁判所規則である「事件記録等保存規程」に、「事件記録・事件書類は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」などといった、公文書管理法と同趣旨の理念規定を追加すること

(2)記録の保存・管理の専門家である国の「認証アーキビスト」を、最高裁と各高裁に最低1人ずつ置くこと

(3)史料価値の高さなどから指定される「2項特別保存記録」について、少年事件なども国立公文書館に移管できるようにすること

(4)記録保存について、たとえば「家庭裁判所委員会」を利用するなど、第三者の意見を聞く仕組を確保すること

江川さんは「将来どのような状況になって記録が必要になるかわからない」と保存の必要性を訴えた。

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