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「netgeek」集団訴訟、名誉毀損一部認める 運営会社と代表者に121万円賠償命令
会見を開いた原告と弁護団(東京・霞が関の司法記者クラブ、弁護士ドットコム撮影、2022年2月15日)

「netgeek」集団訴訟、名誉毀損一部認める 運営会社と代表者に121万円賠償命令

ニュースサイト「netgeek」の記事によって名誉を傷つけられたとして、ブロガーの永江一石さんや武蔵大学社会学部の千田有紀教授ら5人が運営会社「innovator's base」(東京都渋谷区)とその代表者に計1650万円(1人あたり330万円)の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月15日、東京地裁であった。

武部知子裁判長は名誉毀損の成立を一部認め、運営会社とその代表者に計121万円の支払いを命じた。

一方、永江さんの記事や千田教授のツイートなどについて、運営会社とその代表者は名誉毀損だとして慰謝料など計約1192万円と記事削除を求めて反訴していたが、東京地裁は永江さんの記事が名誉毀損などにあたるとして、慰謝料など計33万円の支払いを永江さんに命じた。

●GMOに対する請求は棄却

訴状などによると、原告はブロガーの永江一石さん、武蔵大学社会学部の千田有紀教授、コンサルタント、スーパーマーケットで働いていた非正規社員、会社員の5人。2015年7月から2018年10月までの間に「netgeek」に掲載された記事について、社会的評価が低下し、名誉を傷つけられたと主張している。

判決は、永江さんの嫌煙行動に対する「奇行」「頭のおかしい投稿」「インチキコンサルタント」との記述、千田教授に対する「モンスタークレーマー」「自滅」との記述、コンサルタントが連載記事で偏った記事を書いたかのような記述、スーパーマーケットで働いていた非正規社員に対する「結婚できないのも正社員に慣れないのも偏屈な人格と社会活動に原因があるからと言えるのではないだろうか」との記述について、名誉毀損を認めた。

また、今回の訴訟では「法的な責任を追及されることを心配せずに、名誉を毀損する記事を継続的に掲載するという不法行為を幇助した」として、ドメイン名登録手続代行会社である株式会社「GMOインターネット」も訴えていたが、原告側の請求を棄却した東京高裁判決が確定している。

●「動物に関する可愛らしいサイトに変貌」

判決後、原告と弁護団は記者会見を開いた。

代理人の野間啓弁護士は「(今回の提訴により)被告が運営主体であることが明らかになってから、netgeekの掲載内容は個人のプライバシーを暴くようなものではなくなり、動物に関する可愛らしいサイトに変貌した。提訴したことで目的の大半は達成している」と裁判の意義を語った。

一方で、賠償金額については「金額が安すぎる。炎上させられ困っているのに賠償金額は20〜30万円。彼らは匿名でビューを稼ぐことで商売をしていたわけで理解できない」と批判した。

永江さんは「代表者は裁判の証人尋問で、原稿を書いたのは自分ではなく外部のライターが悪いとして、発行者としての責任を認めなかった。今は可愛い猫サイトになったので、今後被害者が出ないということでも裁判をやった甲斐はある」と語った。

千田教授は「名誉毀損が認められ、個人としては満足いく結果」。コンサルタントの男性は「悪質な誹謗中傷をするサイトが、ビジネスモデル転換せざるを得なくなったことは喜ばしいこと」と話した。

非正規社員の男性は、テレビで自分の困窮した状況を紹介したところ、netgeekで記事にされた。

「当時スーパーのレジ接客をしていたが、面識のない人に罵詈雑言を言われたり、やったことのない内容のクレームを会社に入れられたりした。相手が何者かも分からない巨大な拡散力を持っていると、やられ放題で泣き寝入りするしかない状況だった」と振り返った。

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