「うちの子はもう着られないから」と、ママ友から子ども服のお下がりをもらった経験がある方もいるのでは。このお下がりをめぐって、トラブルが起こることがあるようです。
子育て情報サイト「ママスタ」のBBSには、ママ友からもらったお下がりをフリマアプリで売ったところ、そのママ友が売り上げの半額を請求してきたという悩みが投稿されました(実際に寄せられた投稿はこちら→http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2617269)。
投稿者は、ママ友からお下がりのベビー服をもらった際、「いらないのは処分していい」と言われたため、いらない服をフリマアプリに出品しました。すると、それを知ったママ友が
「ベビー服をあげたのは私。だから半額は私に払う必要がある!」と怒鳴り込んできたそうです。
また、ネット上のQ&Aサイトにも、ママ友から「お下がりを返して」と言われたという投稿がありました。「結構着古してあるお下がりを、こちらが欲しいと言わないのに使って!と渡してくれ、数カ月後になって他の子に一部回したい、2人目も考えたいから返してと言われたのですが…」と困惑しているようです。
このような場合に、ママ友の要求に応じる必要はあるのでしょうか。濵田諭弁護士の解説をお届けします。
●「ママ友の要求に応じる義務はありません」
まず、お下がりをフリマアプリで出品し、売上金の半額を要求されたケースから考えてみましょう。
結論として、ママ友に売上金を渡す必要はありません。便宜的に、お下がりを譲った方をAさん、譲り受けたママ友をBさんとして説明します。
法律的に言うとAさんはBさんにお下がりを贈与したことになり、Bさんにお下がりの所有権が移っています。したがって、Bさんがお下がりを自分のお子様に着せようが、処分しようが自由ということになります。
当然、フリマアプリに出品するのも自由ですし、お下がりの売上金は出品したBさんのものです。Bさんには、売上金の半分をAさんに渡す義務はありません。
なお、本件のように書面によらない贈与は、民法上、AさんからもBさんからも撤回することができるとされていますが、既に契約上の義務を果たした場合は撤回できないとされています。今回のケースでいうと、AさんはBさんにお下がりを渡した段階で、お下がりをBさんに渡すという義務を果たしています。したがって、Aさんは贈与を撤回できません。
また、一度譲り受けたお下がりを「返して」と言われた場合も、応じる必要はありません。
先ほど述べたように、AさんがBさんにお下がりを贈与した段階で、Bさんに所有権が移っています。そしてAさんは、お下がりをBさんに既に渡していますから贈与を撤回できません。
ですから、贈与の数か月後にBさんがAさんから「やっぱり返して」と言われたとしても、その要求に応じる必要はありません。
(弁護士ドットコムライフ)