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住吉会トップらにも賠償命令 「特殊詐欺」で逆転判決 東京高裁
会見した被害者側の代理人弁護士(2021年1月29日、編集部撮影、司法記者クラブ)

住吉会トップらにも賠償命令 「特殊詐欺」で逆転判決 東京高裁

指定暴力団「住吉会」系の組員らによる特殊詐欺事件の被害者が、実行犯のほか、住吉会の代表者ら3人を相手に、1950万円を求めていた裁判の控訴審判決で、東京高裁は1月29日、関功会長ら3人の責任も認め、計1210万円の支払いを命じた。

一審判決では、会長らトップの責任は認められておらず、逆転判決となった。特殊詐欺事件の高裁判決で、暴力団トップの使用者責任が認められたのは3例目とみられる。

2014年に息子の窮地を告げる連絡にだまされ、1000万円を詐取された関東地方在住の70代女性が訴えていた。

●「威力」をめぐって裁判所の判断が変わる

暴対法32条の2は、指定暴力団の構成員が組の威力を利用して、他人の財産などを侵害したときは、指定暴力団の代表者等にも賠償責任が及ぶことが定められている。

この点について、一審判決は、実行犯が指定暴力団の構成員だったというだけでは、組の威力を利用したとは認められないなどとして、トップの責任は問えないと判断していた。

一方、今回の東京高裁判決は、特殊詐欺グループの組織性の高さに着目。指定暴力団員の関与する特殊詐欺においては、指定暴力団の威力が内部の統制および外部への対抗に利用されることになったと認められるとして、組長責任を認めた。

高裁判決では、息子の身を案じる親心につけこんだ点や金額が高額なこと、取り返すのに時間がかかることなどを総合考慮し、一審では認められなかった慰謝料100万円も認めている。

被害者側の弁護団は、判決後の会見で次のように話した。

「直接の威力がなくても、内部統制に使われているという判断の流れができている。特殊詐欺は、暴力団の多大な資金源になっており、民事・刑事の責任が問われることで、抑止力が働くことに期待したい。被害者の苦痛を正面から認めてくれたのも前進だ」

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