「サザエさん」一家に都税事務所から納税通知が届いた!? 商店街に設置されたアニメ『サザエさん』の銅像が、固定資産税の課税対象になっていると報じられ、話題となっている。
報道によれば、課税対象となったのは東京都世田谷区の桜新町駅周辺にある「サザエさん」や「波平」などの銅像12体。地元商店街が『サザエさん』誕生65周年の2012年、地元活性化の象徴として設置した。今回、商店街に届いた納税通知書に記された額は58万9200円とされる。
都税事務所が課税対象としたのは、これらの銅像が「PR目的の看板と同じ」と判断したからだ。看板には固定資産税が課せられる。一方、葛飾区が所有している、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公「両さん」の銅像は非課税だ。どちらも地域をPRするキャラクター銅像であることに違いはないように思うのだが、銅像に対する課税、非課税の線引きはどうなっているのだろうか。大和弘幸弁護士に聞いた。
●課税の有無は「所有者」によって違う
「客を呼び込むことは、商店街の重要な事業の一つです。今回話題になっているサザエさんの銅像を、商店街が設置した理由の一つには、そういう期待もあったでしょう。その意味で、銅像はまさに『看板と同じようなもの』と言えます。
つまり、今回の銅像は、宣伝事業のために使う『財産』だと考えられます。だから、その所有者である商店街に固定資産税が課される。そういう話だと思われます」
では、なぜ「両さん」の銅像には税金がかからないのか。
「同じように葛飾区のPRに役立っているのに、不公平だと考えられる方もいるでしょう。しかし、両さんの銅像が非課税なのは、それが区の所有物だからです。国や地方公共団体が所有する資産には公的な性格がありますから、非課税とされているのです」
そもそも、看板や銅像は『固定資産』なの?
「固定資産税というのは、土地や家屋、償却資産などの『固定資産』を所有している人に対して、市町村(東京23区の場合は都)が課す地方税です。
また、償却資産は『事業資産』と言い換えた方が、イメージしやすいかもしれません。もう少し詳しくいうと、償却資産とは、事業用に使える資産で、その減価償却費が所得税、法人税の課税の上で必要経費または損金に算入されるものをいいます。
ちなみに、償却資産は、現実に減価償却を行っていなくても、本来減価償却が可能であれば、課税対象です」
なるほど、民間団体が持っているか、公共団体が持っているか、所有者の違いが課税の有無に直結していたのだ。もし、地域活性化という名目で何かを作りたいと思ったら、そのあたりの事情もにらみつつ動いたほうがよさそうだ。