領収書の宛名として使われる「上様」をめぐり、ある領収書の写真がネットで公開されて、話題になった。写真に書かれた宛名は「ウエデイ」様。投稿主が店員から領収書の宛名を尋ねられた際に、「『上』でいいです」と回答したところ、店員が意味を理解できなかったためか、この宛名になってしまったそうだ。
ネット上では、「最近、『上』で貰う人少ないからわからなかったのか?」「上様が(税務処理で)通るか通らないかは正直グレーゾーンだよ」「今は上様じゃなくて名前空欄の方が多い」など、「上様」が通用するのかしないのかをめぐり、さまざまな意見が飛び交っている。
この投稿自体は単なる「ネタ」の可能性もあるが、最近の税務処理では「上様」はどう扱われているのか。「名前空欄」との違いはあるのだろうか。西村昌典税理士に聞いた。
●「上様」だと経費扱いしてもらえないケースも
「領収書は支払いの事実を証明するものとして、原則として7年間の保存が必要となります。もちろん正式な『領収書』があれば問題ないのですが、『レシートでは経費にならないのではないか』と疑問を持たれる方もいるでしょう。
しかし、むしろレシートのほうが品名や数量、購入日時までわかるので、最近の税務調査などでは、調査官にとっては領収書よりも見やすいとの声もあります」
なるほど、最近は「レシート」でも、内容が適切であれば十分に通用するようだ。では、領収書の「上様」はどうだろうか。
「少額の領収書であれば、大きく問題になることはほぼないと思われます。ただ、宛先が『上様』で、但書が『お品代』だった場合、金額が多額になると、税務調査の際などに細かく追及される可能性があります。
また、個人事業主ではなく、会社などの法人に勤務している方の場合、『厳しい』経理部門のお達しなどにより、『上様』での領収書では立て替えた金額を支払ってもらえないこともあるでしょう。
個人事業主の方であっても、『上様』宛の領収書は避けて、きちんと自分の名前か屋号宛の領収書をもらっておくのが望ましいでしょうね」
では、「名前空欄」はどうだろうか。
「名前空欄でもらうのも同様です。もちろん、『ウエデイ』様は論外ですよ。グレーゾーンはなるべく残さず、クリーンな経理処理にしていきましょう」
西村税理士はこう呼びかけていた。
【取材協力税理士】
西村昌典税理士・公認会計士
中堅監査法人・大手監査法人・一般事業会社を経て開業いたしました。経営者の視点でのご相談を承れますので、お気軽にご連絡ください。
事務所名 :西村昌典公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://mn-cpa.jp