健康を気にしていても、なぜか無性に食べたくなるときがある、高カロリーの「ジャンクフード」。日本でも食べ物と肥満に関する話題は絶えないが、「ジャンクフード対策」は世界的な課題になっている。
ジャンクフードなどの「不健康な食事」は、タバコよりも健康を害する。そう指摘して、課税や広告規制などの対策を提言しているのは、国連特別報告官(食料問題担当)のオリヴィエ・デシューター氏。今年5月には、食事療法に関する条約締結など、世界レベルでの取り組みを促している。
では、日本で、酒やタバコのように「ジャンクフード」に課税することは可能なのだろうか。また、課税された場合、健康対策として効果を発揮するのだろうか。近藤学税理士に聞いた。
●過去には「脂肪税」が導入された国もある
「海外では、『ジャンクフード税』と同様の税金が導入されたことがあります」
すでに前例があるようだ。いったいどこの国で導入されたのだろうか。
「デンマークでは、脂肪分の多い食品に『脂肪税』が課せられていました。デンマークは平均身長が世界で2番目に高く、老人が肥満体になると介護者の負担は相当重いものとなります。そのため、肥満の人を減らそうという狙いがあったのです。
しかし、脂肪税は、わずか1年ほどの期間で廃止されてしまいました。低所得者層の大きな反発を招いたうえ、国民がドイツなど近隣諸国で脂肪分の多い食品を購入するようになったためです。あまり効果がなかったのですね」
●「ジャンクフード税」の効果は?
では、日本で、この脂肪税と同じような『ジャンクフード税』が導入される可能性はあるだろうか。
「今はまだ話題にのぼっていません。しかし、近年では、日本でも子どもの肥満率の増加が問題視されています。いずれ、特定の食品に対する課税などの措置が行われることは、十分に考えられます」
導入されれば、子どもの肥満解消につながる?
「デンマークの脂肪税の例では、結果的に消費者の行動に変化をもたらすことはできませんでした。
私自身、脂っこい食べ物をときどき無性に食べたくなることがあります。税金ぐらいのムチでは、その衝動を抑えることができないのではないでしょうか」
このように、近藤税理士は「ジャンクフード税」の効果について疑問を呈していた。
近藤学(こんどう・まなぶ)税理士
京都府の南部で、クラウド大好き会計事務所として、小規模企業の継続と発展をサポートしている。著書に「一番楽しい会計の本(ダイヤモンド社)」「儲からないと嘆く前に読む会計の本(大和書房)」「なぜ金持ち会社は節税しないのか?(九天社)」「あなたの中の起業家を呼び起こせ マイケルE.ガーバー(翻訳書)」。
事務所名:近藤学税理士事務所
事務所URL:http://kondotax.jp