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全国の教員「2500人」に脅迫状――刑罰は最大で「懲役2万5000年」になる?
現実味のない数字はアリなのだろうか。

全国の教員「2500人」に脅迫状――刑罰は最大で「懲役2万5000年」になる?

全国の小中学校の教員のもとに、現金を要求する脅迫状が、相次いで届いている。NHKによると、3月13日の時点で、脅迫状を送り付けられた教員は、2500人近いという。

それらの脅迫文は「(体罰などで)教え子の心を傷つけた」「親から復讐を頼まれた」「300万円支払えば中止する」などとして、海外に現金を送金するよう要求している。全国各地に同様の脅迫状が届いているとみられるが、今のところ実際に支払った事例はないもようだ。

警察は「恐喝未遂」の疑いで捜査しているようだが、仮に1人の人間が2500人に脅迫状を送りつけていて、計2500件の恐喝未遂で有罪になっとしたら、刑罰はどうなるのだろうか。恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」だから、単純にかけ算をすると10年×2500件で「2万5000年」になるが・・・。刑事事件に詳しい山田直子弁護士に聞いた。

●1件の犯罪よりも重くなるが・・・

「2500通の脅迫状を1通ずつ2500人に送ったとすれば、それぞれ別の犯罪行為が2500件あると言えます。

つまり、別の人を対象に、(内容は同じでも)別の脅迫状を送ったのですから、2500件の犯罪がそれぞれ別に成立しうるということです」

そうすると、仮に2500件の恐喝未遂で有罪となれば、刑罰は2500倍になるのだろうか。

「恐喝未遂を1件起こしたときに比べると、刑が加重されますが、2500倍にはなりません。

一度の裁判で2500件の恐喝未遂罪に問われた場合、刑罰は『併合罪』(刑法45条)として、まとめて計算されます」

どのように計算されるのだろうか?

「併合罪となった場合、判決で科すことのできる刑罰の幅は、『犯罪事実の中でもっとも重い罪の1.5倍まで』となります。

つまり、恐喝未遂を複数犯した場合、10年以下の懲役の1.5倍ですから、最大で『15年以下の懲役』になるということです」

山田弁護士はこのように述べていた。

海外のニュースでは、まれにいくつも犯行を重ねて「懲役1000年」といったケースを聞くことがあるが、どうやら日本では、そのようなケタ違いの懲役刑が科せられることはないようだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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