2014年09月11日 11時09分

「裁判所は保守的で柔軟性がない」 地球温暖化「シロクマ訴訟」で敗訴した原告が反論

「裁判所は保守的で柔軟性がない」 地球温暖化「シロクマ訴訟」で敗訴した原告が反論
記者会見にのぞむ弁護団メンバー。中央にはホッキョクグマのぬいぐるみが置かれた

「温暖化ですみかを追われたホッキョクグマ」を原告に加えたことなどから、「シロクマ訴訟」として注目を集めていた裁判で、東京地裁は9月10日、原告たちの訴えを棄却する判決を下した。

この裁判は、環境団体らが「地球温暖化は公害だ」として、電力会社など11社に二酸化炭素(CO2)排出を減らすように求めていたもの。原告たちは、二酸化炭素排出を減らすよう求めた調停が却下されたことから、その判断を取り消すよう求める訴えを2012年、東京地裁に起こしていた。

判決後、原告らは東京・霞ヶ関の司法記者クラブで会見を開き、「いい判決を得られるのではないかと期待していた」「裁判所の判決は保守的で柔軟性が全くない」などと話し、悔しさをにじませた。

●CO2を排出することは「大気汚染」にならないのか?

弁護団の和田重太弁護士は、今回の裁判を次のように振り返った。

「裁判の争点は、地球温暖化は『公害』に当たるのか、あるいは、CO2を排出すること自体が大気汚染に当たるのかでした。

それに対し判決は、公害とは『人体に直接、害を与える物質を出すことだ』という、従前通りの判断をしました。

CO2は、気候変動を促進し、人の生命や健康に間接的な害を与えます。しかし、CO2は直接人体に入っても害ではありません。そのために『公害』には当たらないとされたのです」

●「公害の概念は時代とともに変わる」

「『公害』という言葉が、CO2のような間接的に害を与える物質を除外しているかというと、全くそんなことはありません。法律のどこを読んでもそんなふうには解釈できません。

そして、『公害』の概念は、時代とともに変遷していくものです。たとえば60年前、水俣病を『公害』だと見る人はいなかったでしょう。最近ではアスベストなど、新しい公害がどんどん出てきています。ところが今回の保守的な判決を見る限り、裁判所はそのようには考えていないということです」

和田弁護士は、判決をこう批判したうえで、「今日のような判決が前提になると、国の温暖化対策はもっともっと後退する。そういう意味で、当然われわれは控訴にむけて準備をするつもりです」と話していた。

なお、「温暖化の象徴」として原告に加えられたホッキョクグマは、裁判の途中で「当事者能力がない」とされてしまったという。

しかし、記者会見会場にはホッキョクグマのぬいぐるみが登場。また、ホッキョクグマが「温室効果ガスの排出は 公害ですよね?」と書かれたプラカードを持つイラストも会場に貼られ、人間だけではなく動物にも害を与える温暖化の深刻さを訴えていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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