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迫る国葬「『考えなくていい』に抵抗しなきゃいけない」、東大で政治学者や憲法学者らが議論
国葬を考えるシンポジウムの様子=UTCP(共生のための国際哲学研究センター)提供

迫る国葬「『考えなくていい』に抵抗しなきゃいけない」、東大で政治学者や憲法学者らが議論

国葬まで約1週間となった9月19日、東京大で「シンポジウム国葬を考える」が開かれた。「国葬を行う法的根拠」「安倍晋三氏が国民的追悼に値する政治家か」について学者や弁護士ら6人の識者が検討した。

主催した哲学者の國分功一郎教授は「公文書改ざんなど社会全体のモラルを崩壊させた安倍政権。国葬に対して何も言わなければ、この政権の完成に手を貸すことになってしまう」と問題意識を説明した。

自民党の二階俊博氏はテレビ番組で「黙って見送ってあげたらいい。国葬がどうだこうだなんて、議論すべきじゃないんだよ」などと発言したとされる。憲法学者の石川健治教授は「『考えなくていい』に抵抗しなきゃいけない。簡単に結論にいかずに、何が起きているのかを考え抜くことが大事だ」と強調した。

●「天皇や安倍晋三という固有名で語らず、とことん考えることが必要」

國分氏と石川氏、政治思想史を研究する片山杜秀慶応大教授が、国葬の意味について検討。白井聡京都精華大准教授、三牧聖子同志社大院准教授が政治学の立場から、安倍政権の内政と外交について検証した。全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士も登壇し、旧統一教会と政治の癒着について説明した。

石川氏は戦前の国葬令などの歴史もひもといて解説。「国葬は、象徴をつくる行事です。戦後は天皇だけとなったはずなのに、吉田茂元首相の時にやってしまった」。本来は考えなければならないプロセスを簡略化して行うのは、今回も同じだと指摘した。

安倍政治についての解説を受け、石川氏は「今までとは違う統治・経済のシステムが出来上がってきている。天皇や安倍晋三という固有名で語るのではなく、あえて固有名を使わないで議論する、とことん考えることが必要」と提案した。

●「吉田茂元首相の国葬の際も学校で『考えなくていい』と言われた」

会場からは文学研究者の品田悦一東大教授も発言。吉田茂元首相の国葬の際に小学生で、学校で黙祷をしたという。こんなエピソードを紹介した。

「なぜ国葬が行われるか分からずに小学校の先生に聞いたが『難しい問題だから考えなくていい』と言われ、ますます疑問が募った覚えがある。今回、学校が半旗掲揚や黙祷などについて、どう対応するかに注目している」

シンポジウムはYouTubeでも見ることができる。

ダイジェスト放送は9月25日午後7時からデモクラシータイムスYouTubeチャンネルで配信するという。

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