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グローバルダイニング訴訟、京大・藤井聡教授が都を痛烈批判「学部生レベルの検証もできていない」
藤井聡教授(右)と倉持麟太郎弁護士(2022年2月7日、東京都内、弁護士ドットコムニュース撮影)

グローバルダイニング訴訟、京大・藤井聡教授が都を痛烈批判「学部生レベルの検証もできていない」

新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく時短命令を2021年3月に受けた飲食チェーン「グローバルダイニング」が、命令は違憲・違法だとして、東京都を相手取り、損害賠償を求める訴訟の第6回期日が2月7日、東京地裁(松田典浩裁判長)であった。

この日は、前回期日(12月13日)で証人採用された同社の長谷川耕造社長と京大・藤井聡教授(都市社会工学)に対する尋問がおこなわれた。

●藤井教授、分科会資料を「極めて悪質」と批判

最初に証言台に立った長谷川社長は、2020年4月の第1回緊急事態宣言時には臨時休業するなど対応したが、前年と比べ売上額が4割以上減るなど「経営的に限界だった」と主張。緊急事態宣言による時短要請・命令の効果にも疑問があったとして、通常営業を続けたことには理由があったことをあらためて訴えた。

藤井教授は、都が人流抑制や飲食店への時短要請などの根拠としている「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の資料で、21時以降の人出抑制は感染対策上「有益」と記されていることについて、「有益」なる単語は統計学上存在しないと指摘。統計学的に問題となるのは恣意性を排した「有意」か否かだとした。

その上で、分科会資料と同じデータを使用し、大学の学部生レベルの一般的な手法で再度分析したところ、21時以降の人出抑制は「有意でない(意味がない)」との結果になったと証言した。

藤井教授は期日後に開かれた会見で、「有意でないことを隠蔽する形で、人出を減らせば感染者も減らせて有益だとした資料は欺瞞的。都は、その資料について学部生レベルの統計学的検証もせず、漫然と時短命令を出して国民の自由を奪ったことは極めて悪質だ」と都の対応を痛烈に批判した。

同社代理人の倉持麟太郎弁護士は、今回の証人尋問について、「一企業に対する命令が合法かどうかを超えて、今のまん延防止等重点措置や今後発令されるかもしれない緊急事態宣言の根拠となる資料の統計学的根拠を攻撃したものだ」とする。

本来は法廷で30分ほど議論して終わらせるようなものではなく、政府内で十二分にやるべき議論だとして、「これを契機に、コロナ対策などを検証できる社会にしていきたい」と訴えた。

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