日本組織内弁護士協会(JILA)はこのほど、企業内弁護士(インハウスローヤー)の人数などの統計データを公表した。
2022年6月末時点での企業内弁護士数は前年比145人増の2965人で、JILAが発足した2001年から21年連続の増加となった。企業内弁護士を採用する企業数も前年から48社増えて1372社となった。
一方、増加幅に目を向けると、2014年から連続して前年比200人以上増えていたが、2021年と2022年は191人増→145人増と伸びが鈍化している。
また、登録1年目で入社した企業内弁護士数を見ると、74期は56人と近5年では最少。全体的に減少傾向が見てとれる。
これらについて、JILAの坂本英之理事長は大きく、(1)法律事務所の採用が積極的だったこと、(2)企業が新卒よりも実務経験のある弁護士を求めるようになっていること、(3)法律事務所のワークライフバランスが改善傾向にあることーーが影響しているのではないかと指摘する。
「昔から企業内弁護士を選択する理由としてワークライフバランスの重視が挙げられます。他方、コロナ禍による在宅勤務の普及などで法律事務所のワークライフバランスも改善傾向にあるようです。このことから、企業は、従来通りの条件では弁護士を採用しにくくなっているのではないでしょうか」(坂本理事長)
●年収も上昇中
実際、JILAが実施している企業内弁護士向けのアンケートでも例年、職場を選んだ理由として「ワークライフバランス」をあげる弁護士が一番多く、2022年も理由の57.7%を占めた(複数回答)。
こうしたこともあり、企業内弁護士は女性が多い。弁護士全体では女性弁護士は2割に満たないが、企業内弁護士についてはここ10年ほど、約4割が女性弁護士という状態が続いている。
JILAの企業内弁護士アンケートによると、企業内での年次が上がっていることもあり、企業内弁護士の年収帯も上に推移している。2022年には1250万円~1500万円未満の企業内弁護士が10.9%と初めて1割を超えた。