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周南・5人殺害事件で最高裁弁論 遺族「ふるさとが失われた」極刑求める
会見に参加した遺族(2019年6月17日、弁護士ドットコム撮影、東京都)

周南・5人殺害事件で最高裁弁論 遺族「ふるさとが失われた」極刑求める

山口県周南市の集落で2013年、住民5人が殺害された事件で殺人などの罪に問われ、一、二審で死刑とされた被告人の上告審弁論が6月17日、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)で開かれた。

弁論後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた遺族は「これまでと同様の判決を望みます」と極刑を求めた。

●「妄想だから罪に問われないのは理不尽」

弁護側は「被告人の元々の性格は穏やかだが、反抗の前後で人格的に異質なものとなっている。被告人の著しい妄想の影響によって犯行に及び、心身耗弱であった」などと死刑回避を主張。検察側は「犯行は妄想性障害による影響に基づくものではなく、被告人の性格や価値観による犯行そのもの」などと上告棄却を求めて結審した。

遺族の一人は「近隣住民をあれだけ残虐に殺している訳で、それが妄想だったからなんの罪にも問われないというのは、遺族としては非常に理不尽だと思います」と話した。

被害者参加制度を利用した遺族代理人の高橋正人弁護士は「妄想だと主張して全てを精神の問題にしたら、なんの犯罪も裁けなくなる」と指摘した。

●「温かい村です」

また事件後、ネット上で「村人たちが悪かった」などと書かれたことにも触れた。遺族は「事実と全然違う噂話が書かれて、嫌だったしつらかった。ネット上で誤解されたまま書かれたものは消えることがない。どこかのタイミングで違うということを、一番身近にいた私たちが言うしかない」との思いから、会見に参加したという。

事件が起きた集落については「いいところだった」「温かい村です」と口を揃えた。

事件を機に、集落に住むことを諦めた人もいると言い、遺族の一人は「被告人の家もまだ残っている状態ですし、私もあの日以降はほぼ帰っていません。帰れなくなり、ふるさとがなくなったなと感じます」と話した。

別の遺族は「人が住んでいる家も少ないし、火をつけられ焼失した家もある。様子が全部変わってしまったというのもあって、なかなかつらいですね」と涙ぐんだ。

被告人は供述調書で犯行を認めたが、公判では起訴内容を全面的に否認。一審山口地裁の裁判員裁判は求刑通り死刑を言い渡し、二審広島高裁も一審を支持した。二審で死刑判決となった場合、最高裁では慣例として弁論を開く。

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