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「お風呂に汚物」週1でみつかる 銭湯のおじさん呆然…どんな罪に問える?
写真はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

「お風呂に汚物」週1でみつかる 銭湯のおじさん呆然…どんな罪に問える?

銭湯のなかに「汚物」を残されて困っている、やった人を罪に問えないかーー。

こうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。相談者によると、はじめはうっかり漏らしたものかなと思っていたそうですが、1〜2週間に1度の頻度で浴槽のなかに汚物(大便)が見つかり、「もう、我慢の限界」とのことです。

やった人をどのような罪に問えるのか、また損害賠償はできるのか。西口竜司弁護士に聞きました。

●大便、モラルの問題だけで済まない

ーーどんな罪になりそうでしょうか

「可能性として考えられるのは、『器物損壊罪』や『業務妨害罪』の成立でしょう。

まず、『器物損壊罪』ですが、同罪における『損壊』とは、物理的損壊に限らず、その物の効用を失わせることも含むとされています。今回のような場合、大便をしたことによって水や浴槽などの効用を失わせたとまでは考えにくく、同罪は成立しないと思われます」

ーー業務妨害罪についてはどうですか

「はい、『業務妨害罪』が成立する可能性はあります。今回のケースでは『偽計業務妨害罪』の問題になりうるでしょう。

『偽計』とは何だか難しい言葉ですが、要するに、人を騙したり、人の無知や勘違いを利用することです。例えば、『バレないだろう』と思ってこっそり浴槽で大便をした人がいて、その後、浴槽に大便があったことが発覚し、客が来なくなったというような場合、大便をした人は同罪に問われる可能性があります。

このほか、仮に、大便をする目的で銭湯に入ったと考えると、『建造物侵入罪』が成立すると思われるかもしれません。しかし、銭湯など公衆に開かれた場所においては、建物内に入ることについて管理権者の同意があったと考えられるため、同罪の成立は難しいように思います」

ーー銭湯の経営者が、大便をした人に損害賠償を請求できるのでしょうか

「銭湯で大便をすることは、民法709条の不法行為に該当すると考えられますので、運営者が損害賠償請求をすることはできます。

なお、軽犯罪法は1条26項で『街路又は公園その他公衆の集合する場所で』『大小便をした』者を処罰すると規定しています。銭湯での大便もこれに該当する可能性があります。他人にばれなければ良いという問題ではありません。モラルをもって行動したいですね」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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