プロ野球の読売巨人軍が、新人選手との契約にあたって最高標準額とされる金額(1億円+出来高払い5千万円)を大幅に超えた金額で契約を結んだと報じられている。事実かどうかはまだ明らかではないが仮に事実だとした場合、この問題の関係者は民事上の違法行為を問われるのか、また刑事上においても何らかの罪が成立するのか。
そもそも最高標準額とは、1993年にドラフト会議に「逆指名制度」が導入されるにあたってプロ野球12球団が申し合わせて定めたものである。複数の球団からドラフト候補に挙げられるような有望選手に対し、資金力の豊富な球団が他球団よりも高く契約金額を提示することで選手からの逆指名を確実にするような事態を防ぐ意味合いがある。
違反を指摘する報道に対し巨人側は、最高標準額はあくまで目安であり、税務申告も適切に行なっているとして、ルール違反でないことを強調している。しかし最高標準額については広く一般のファンにも認識されており、契約を結ぶ選手側もその存在は認識しているはずだ。もし最高標準額を超えた金額で契約を結んだ場合、関係者は罪を問われるのだろうか。
スポーツ法務に詳しい梅村正和弁護士によると、
「契約金超過を罰する法律はないので刑事上は罪になりません。民事上の問題についても、契約違反などがないと責任を問えません。」
「契約金の最高標準額が各球団どうしで取り決めた正式な契約であれば、その契約に違反したといえるかもしれませんが、業界内部での申し合わせにすぎなければ、道徳的な問題と税務会計上の処理は別として、法律的には問題ありません。あとは、プロ野球の業界内部の問題ということになります。」
ということで、法律的な解釈では巨人側の主張の通りとなりそうだ。
これまでもドラフト絡みでは物議を醸すことが多かった巨人。今回の契約金超過問題を報じた朝日新聞に対し全面的に争う姿勢を見せているが、ファンのためにもグラウンド外のトラブルは早期に解決したいところだ。