ツイッターで知り合った少女(16)を1カ月近く、自宅アパートに寝泊まりさせていたとして、自称プログラマーの30代男性が6月下旬、未成年者誘拐の疑いで警視庁に逮捕された。
報道によると、少女が5月下旬、「家出したがお金がない。寝泊まりさせてほしい」とツイッターに書き込んだ。男性は「家においで」などと誘って、25日間にわたって自宅に連れ込んだという。ただ、少女の行動を制限するようなことはなかったそうだ。
警視庁の取り調べに、男性は「未成年と知らなかった」と容疑を否認している。家出している未成年を「善意」で泊めるあげても違法なのだろうか。小野智彦弁護士に聞いた。
●本人だけでなく保護者の承諾も必要
「未成年を『善意』で泊めても、その保護監督者(親権者等)の承諾がない限り、違法であり、未成年者誘拐罪が成立します」
どうしてそうなるのか。
「未成年者誘拐罪については、もちろん未成年者本人の身体の自由が保護法益(法によって保護される利益)ですが、それだけにとどまらず、保護監督者の監督権も保護法益となります。
つまり、保護監督者の承諾がない限り、いくら未成年が泊まることに承諾していたとしても、保護監督権が侵害されている以上、未成年者誘拐罪の違法性は阻却されないということになります。
なお、この罪が成立するためには、故意、つまり、泊めた相手が未成年であることを知っていることが必要です。
今回逮捕された男性は『未成年であることを知らなかった』と故意の存在を争うことで無罪を主張しているようです。
しかし、仮に『もしかしたら未成年かな?』と思ったとしても、故意ありとされてしまいます(未必の故意)。
相手方の容姿、言動、容疑者のこれまでの経歴(ほかに未成年と遊んでいたなど)から、未必の故意が認められてしまうことがあります」
●『泊めて』といわれても泊めないこと
では、家出した未成年に「泊めてほしい」といわれた場合、どうすればいいのか。
「相手が未成年だとわかったら、あるいは、未成年かも知れないと思ったら、仮に『泊めて』といわれても、泊めないことです。どうしてもというのであれば、親御さんの連絡先を聞き、連絡をして迎えに来てもらうか、承諾を取るかをしなければなりません。
とはいえ、そのような未成年は、絶対に親御さんの連絡先などいわないでしょうから、その場合は、警察に連絡して、保護してもらうしか方法がないように思います」
小野弁護士はこのように述べていた。