「カメの引き取りやめます」。多摩川の生態系を守るため、外来魚などを引き取って飼育している「おさかなポスト」が4月中旬、そう決定した。
共同通信によると、「おさかなポスト」では2005年以降、飼いきれなくなったカメを引き取り、学校などに飼育を依頼していた。しかし、最近持ち込まれるペースが増加して対処できなくなり、現在約250匹ものカメを保護しているという。
ポストに持ち込まれるカメの大半は、祭りの屋台やペットショップなどで販売されている「ミドリガメ」。このカメ、正式にはミシシッピアカミミガメという。寿命が長く、甲羅の長さは、雄で20センチ、雌で28センチ程度にまで成長する。環境省の「要注意外来生物リスト」にも載っていて、「在来のカメ類や水生植物、魚類、両生類、甲殻類等に大きな影響を及ぼしている」と想定されている。
ペットとして飼ったカメならば、最後まで責任を持ってほしいものだが、もし「要注意外来生物」とされるカメを、近所の川に放流してしまった場合、罪に問われることはあるのだろうか。後藤富和弁護士に聞いた。
●条例で「ミドリガメ」の放流を禁止している自治体もある
「ミシシッピアカミミガメという名称から分かるように、ミドリガメはもともと日本にいなかった外来種です。日本の自然に放つと、地域固有の生物や生態系を破壊することにつながります。ミドリガメを近所の川に放流することは、もともとそこにいた在来のカメや水生植物、魚類などに影響を与えますので、絶対にやめてください」
――放流は法律違反?
「条例で放流を禁止している自治体もあります。それだけでなく、ミドリガメは『外来生物法』の対象にするかどうかも検討されています」。後藤弁護士はそう警鐘を鳴らす。
「この法律は『特定外来生物』と認定された生物を野外に放つことを禁じていて、個人が違反した場合には、3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科されます。
現時点では、ミドリガメは『特定外来生物』ではなく、警戒程度が一段階低い『要注意外来生物』です。ただ、現在ランクアップも検討されています。飼っている人や、これから飼おうとする人は、それを肝に銘じておくべきでしょう」
「いずれにしても、一度飼育をはじめた以上は、最後まで責任をもって飼育することが重要です。最後まで飼うことができないのであれば、最初から入手しないことです」。後藤弁護士はそう締めくくった。
この「ミドリガメ」、環境省によると年間に数十万から百万匹もの数が輸入されており、規制されれば大量遺棄されるのではないかという指摘もあるそうだ。そういった心配が杞憂に終われば良いが・・・。