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警察の職務質問に怒りの声…ズボンから勝手に財布を取り出して「これは君の?」
職務質問をうけた60代男性Bさん(本人提供/加工は編集部)

警察の職務質問に怒りの声…ズボンから勝手に財布を取り出して「これは君の?」

賢明な読者諸氏も、人生に1度くらいは「職務質問」をされたことがあるかもしれない。職務とはいえ、警察官の「横柄」な態度に不快感をおぼえる人もいる。

今年1月、弁護士ドットコムニュースで「理不尽な職務質問をされた男性」の記事を掲載したところ、そこそこの反響があった。

そこで、公式LINEで「警察の対応」にまつわる体験談を募ると、少なくない数の返信が寄せられた。取材に応じてくれた男性3人の「職質エピソード」を紹介する。

いずれも「すごく嫌な気分になった」「平穏な日常生活を脅かされた気分だ」「職務質問の域を超えている」など、「怒り」を感じているところが共通している。

●「ズボンのポケットから財布を取り出された」

都内在住のAさん(40代)はその日、仕事帰りが終電の時間になった。最寄り駅から、誰もいない深夜の道を自転車で帰宅していると、突然、1人の警察官が腕を広げて立ちはだかった。

その警察官は、自転車を止めると、「こんな時間に何してるの?」と威圧的にたずねてきた。「仕事帰りだ」と答えると、警察官は「時間が遅すぎる」と言い出し「この自転車は君のか?」と詰問した。

「警察官は疑いの目で私を見て、自転車の登録番号が盗難のものじゃないか、調べはじめました」

警察官はつづいて「危険物は所持していないか?」と聞いて、Aさんの身体を触ってチェックしてきた。極めつけは「これは君の?」。なんと、Aさんのズボンの後ろポケットから財布を取り出したというのだ。

「勝手に中身を調べられて、お札、小銭、クレジットカードなんかも取り出して見ていました」

財布の中には、免許証も入っていた。警察官は小馬鹿にしたような態度で「君であることを証明する書類は持ってる?」と聞いてきた。

「これは私の財布で、免許証も私のものです」と答えて財布は返してもらったが、その間、警察官は鋭い目つきで、Aさんを見ていたという。

「すごく嫌な気分になりましたし、おまわりさんの目も怖かったです」

体験を友人たちに話したところ、「無理やりな職質は違法だよ」と教えてくれた。しかし、Aさんは「最初から違法だと知っていても、ああいう雰囲気だと拒否できなかったと思います」と振り返る。

以降、その警察官とは出会っていないが、嫌な思い出は残ってしまった。

●「明確な説明もなくトランクの中まで見られた」

都内在住の自営業Bさん(60代)は、ある日、ホームセンターで買い物を終えて、駐車場にとめてあった車のトランクに購入品を積んでいた。そこに3人の警察官が現れて「トランクの中を見せてくれますか?」と話しかけてきた。

客と会う機会のある仕事のため、ネクタイはしていないものの、普段から身なりに気をつかっており、怪しまれるいわれはない。

「なんで見せる必要があるんだ」「なんの権利でこんなことをやっているのか」「令状も持ってこい」などと言ったが、「刃物とか、中に危ないもの持っている人がいるから」とだけで明確な説明をもらえなかったという。

Bさんが逆に警察官の身分証明を求めたところ、警察手帳は見せてくれたが、スマホで、顔や手帳の氏名を撮ろうとしたら「ダメです」と言われた。「公務なら顔は撮ってもいいだろう」と言ったが、やはり拒否された。ダメな理由は答えてくれなかった。

メモは構わないというので、1人の警察官の氏名や所属、階級を自分の手帳に書き記した。

実は、Bさんは5〜6年前にも、同じ駐車場で職務質問をされたことがあった。そのときは、車内のグローブボックス(助手席の物入れ)を見せて終わったという。

「どんな基準で選んで職質しているのか聞きましたが、回答はありませんでした」

トランクなど車内の確認が終わると、ようやく解放された。しかし、Bさんが車内にいる間、警察官たちはパトカーで駐車場をぐるぐる回っていたという。

「職務質問の根拠(※)には、『疑うに足りる相当な理由がある』と書いてありますが、自分には、そんな覚えはまったくありません。私としては、平穏な日常生活を脅かされた気分です。

この年齢になって、なんで職質受けなきゃならんのかな、という憤りがあります。何を根拠にこのような仕打ちを受けるのか、非常に気分悪く、今後も不安に感じています」

●「不審者と決めつけている態度だった」

仕事の合間に、東北地方のレンタルビデオ店の駐車場に車をとめたCさん(40代)。

携帯電話で仕事の電話をしていたところ、パトカーに乗った警察官4人がやって来た。そのうちの1人から「車から早く降りて!」「何してたの?」「仕事休み?」「車の中を見ていい?」とまくし立てられた。

Cさんが「私が、何したんですか?」と質問しても、警察官たちの対応は「いいから、このバッグの中も見ていい?」「危ないもの入ってない?」というものだった。まるで「不審者」と決めつけているようだったという。

呆れてしまったCさんは、所持品から車内の隅々まで見せることにした。さらに身分証の提示も求められて、免許証を渡した。上司らしい警察官が、部下らしい警察官に「照会かけて」。

「照会」が終わると免許証は返されて、何事もなかったように警察官たちはその場を離れていった。「ご協力ありがとうございます」の一言もなかったという。

「正直、ものすごく憤りを感じました。態度や問いかけ方など、職務質問の領域を超えていると思いました。いったい何のために『不審者』と決めつけて、接してくるのでしょうか」

警察官たちの態度は、Cさんの目には「傲慢」に映ってしまったようだ。

(※)警察官職務執行法第2条1項  
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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