出会い系サイトで知り合った女子小学生にわいせつな行為をしたとして、富山市内の市立中学校の男性教師が児童売春・児童ポルノ禁止法違反(買春)の疑いで逮捕された。
報道によると、男性教師は昨年8月、18歳未満であることを知りながら、富山県内に住む13歳未満の女子小学生に現金約3万円を渡して、富山市内のホテルでわいせつな行為をした疑いが持たれている。2人はインターネットの出会い系サイトを通じて知り合ったという。
男性教師はわいせつな行為をしたことは認めつつも、児童から「中学1年生だと言われた」と話しているという。相手が中学生か小学生かで、何か違いがあるのだろうか。奥村徹弁護士に聞いた。
●13歳未満と13歳以上では「容疑が変わる」可能性がある
「この事案で問題となっている被疑事実(容疑)は、児童買春罪です。
児童買春罪が成立するためには、故意の内容として『相手が18歳未満である』という認識があれば十分です。
その点では、小学生と思っていたとしても、中学生と思っていたとしても、18歳未満であることには違いないので、特に問題にはなりません」
そうすると、この男性教師の言い分には何の意味もなかったのだろうか?
「いいえ、もし相手が13歳未満だと知っていたとすれば、被疑事実が切り替えられる可能性があります。
13歳未満の者への姦淫行為・わいせつ行為は、たとえ暴行・脅迫がなくても、それぞれ強姦罪(刑法177条後段)・強制わいせつ罪(同176条後段)が成立します(ここでは仮に、2つ合わせて『後段の性犯罪』と呼ぶことにします)。
この『後段の性犯罪』の成立には、相手方が13歳未満であることを認識している必要があります(最決S44.7.25)。『小学生』は普通13歳未満ですから、相手が『小学生』であることを知っていれば、13歳未満であることの認識があることになって、『後段の性犯罪』が成立することになります」
●「13歳未満」と認識していたかどうかがポイント
そもそもの話、性犯罪はすべて許されないわけだが、相手が13歳未満だと、より深刻で重大だと見なされるというわけだ。こうした違いがあるため、「中学1年生だと言われた」という供述に焦点が当たっているのだろう。奥村弁護士は続ける。
「ただし、『中学1年生』は、誕生日と犯行日によってはまだ12歳であることがあります。したがって、『中学1年生と聞いた』だけでは、13歳以上だと認識していたとは言い切れません。
たとえば、もし、実は誕生月を聞いていたとか、犯行日が年度初めであったなどの事情があれば、13歳未満だと認識していたと認められやすいことになるでしょう」
有罪となった場合の刑罰には、どれぐらいの違いが出てくるのだろうか?奥村弁護士は次のように話していた。
「量刑については、児童買春1罪の場合には、もっぱら罰金刑になります。しかし、同時に『後段の性犯罪』が認定された場合には、観念的競合(刑法54条1項前段)となり、重い方の性犯罪の刑で処断されますので、罰金刑は選択できず、懲役刑に執行猶予が付くか付かないかというレベルになります」