石原慎太郎・元東京都知事の自宅のインターホンを鳴らして、そのまま立ち去ろうとしていた30代の男性が7月中旬、警視庁の捜査員に取り押さえられた。
報道によると、今年6月以降、東京都大田区の石原氏の自宅には「ピンポンダッシュ」の被害が相次いでおり、警視庁が警戒中だったという。男性は任意の事情聴取に「石原元都知事のファンで、会って激励したかった」と説明したうえで、反省の言葉を口にしたそうだ。
警視庁は、ストーカー規制法違反の疑いがあるとみて、調べているという。子どものころのイタズラで「ピンポンダッシュ」をやったことがある人もいるかもしれない。どんな罪に問われる可能性があるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●つきまとい行為を繰り返すと処罰される可能性がある
そもそも、ピンポンダッシュは、どんな罪に問われる可能性があるのだろうか。
「まず、今回のケースのように、ストーカー規制法違反が考えられます。ストーカー規制法では、恋愛感情や怨恨感情から、つきまとい等を繰り返すことを『ストーカー行為』として規制しています(同法13条)。
東京都迷惑防止条例も同じように、特定の人に対する悪意の感情を充足する目的でつきまとい行為を繰り返すことを規制しています(同条例5条2項)
また、軽犯罪法は、不安もしくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった人を処罰する規定を置いています(同法1条28号)。
さらに、ピンポンダッシュをするために敷地内に立ち入ることは、住居者の意思に反する行為なので、『住居侵入罪』(刑法130条)にあたります」
●「実際に起訴されるのは、よほど酷いもの」
冨本弁護士はこのように述べる。今回のケースは、なぜストーカー規制法違反の疑いがあるとして事情聴取を受けたのだろうか。
「ピンポンダッシュは、ストーカー規制法上の『つきまとい』、あるいは住居への『押し掛け』にあたる可能性があります。
男性はこのような行為を繰り返したことから、『ストーカー行為』にあたるのではないかとされているのでしょう」
ピンポンダッシュでも、起訴・処罰されてしまうことがあるのか
「ストーカー規制法と軽犯罪法には、その規制において、『国民の権利を不当に侵害しないように留意しなさい』という主旨の注意書きがあります。
また、東京都条例の『つきまとい行為等の禁止』についても、『都民の権利を不当に侵害しないように留意しなさい』という意味の注意書きがあります。
したがって、実際に起訴・処罰されるのは、よほど酷いものだったり、放置できないものということになると思います」
冨本弁護士はこのように述べていた。