今年4月に京都府亀岡市で発生した、集団登校中の小学生ら10人が無免許の少年が運転する車にはねられて死傷した事故などを受けて、アルコール・薬物の影響を受けた運転や意図的な信号無視などに限定されている危険運転致死傷罪の適用拡大に向けた法改正が検討されていると報じられている。
この危険運転致死傷罪の適用拡大について、弁護士ドットコムに登録する弁護士に賛否とその理由について意見を聞いてみた。
亀岡市の事故のような、無免許運転による事故などに危険運転致死傷罪(最大20年の懲役刑)が適用されない現状を受けて法改正が検討されているが、この賛否について弁護士の見解は「賛成」と「どちらともいえない」にほぼ二分される結果となった。
しかし各弁護士の意見を見てみると、賛成の立場からも、どちらともいえないの立場からも、悪質な運転による事故に対する立法による厳罰化については一定の理解が示され、完全に反対する意見はなかった。
また、同じくどちらの立場からも、危険運転致死傷罪だけでなく道路交通法の見直しなどその他の対策も併せて必要になるという意見が挙げられており、飲酒運転の「逃げ得」問題(※)など、現行法の不備を指摘する意見もあった。
※現行法では、飲酒運転による事故を起こした場合に、その場で逮捕されるなどによって飲酒の事実が発覚すれば危険運転致死傷罪の対象になるが、事故現場から逃走して体内のアルコールが抜けてから逮捕されれば、飲酒の事実の立証が難しく、結果的に自動車運転過失致死傷罪とひき逃げによる併合罪となれば最大15年の懲役刑と、逃げた方が刑が軽くなる可能性があるという矛盾が存在する。
悪質な運転による交通事故に対して社会的には厳罰化を求める声も多く、滝実法務大臣も危険運転致死傷罪の適用拡大について、法改正が望ましいという主旨の見解を示していると報じられており、今後の議論に注目したい。