遺産トラブルから相続税の悩みまで〜弁護士と税理士、二足のわらじで相続トラブルをワンストップに解決
「悩んでいる人の心を軽くしてあげたい」
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学の法学部に入学する前から、弁護士になりたいという気持ちは持っていました。でも、そこまで気持ちが固まっていたわけではなく、ぼんやりと憧れていた程度だったんです。
本格的に目指し始めたのは大学の2年生からで、法律相談部に入ったことがきっかけです。実際に弁護士として働いている先輩と接する機会が増え、お話を聞いたりしているうちに、自分も弁護士になりたいと思うようになりました。
ーー法律相談部ではどんな活動をされていたのですか?
毎週1回、外部から一般の方を招いて、法律相談を行っていました。といっても、私は学生ですので、本格的なものではなく、どちらかといえば“お悩み相談”に近かったですね。法律に関係する相談には、きちんと資格を持った弁護士の先生が対応されていました。相談内容は、相続に関することが多かったように思います。
法律相談部の活動で感じたのは、世の中には悩みを抱えて生きている人が、非常に多いということ。様々な悩み相談に乗っているうちに、こういった人たちの役に立つような仕事がしたい、弁護士になればそれが実現できる、と考えるようになりました。
ーーどんな学生でしたか?
大学時代は、先ほどもお話したように、法律相談部の活動を中心に過ごしていました。
それに加えて、家庭教師のアルバイトをしていましたね。小学生を教えていたのですが、勉強が苦手な子で、私が教え始めたときは、偏差値が35くらいだったんです。でも、1年くらい教えていたら、偏差値60くらいまで上げることができました。
小学生くらいの子どもって、勉強のやり方そのもの分かっていないことが多いので、そこを懇切丁寧に教えてあげると、学力が飛躍的に伸びます。家庭教師のアルバイトを通して、“ものの考え方や、やり方を知る”ということは、非常に重要なことだと実感しましたね。
ーー法律相談部に所属されていた時は、ご自身も学生で勉強中という状況。どういう風に相談に対する答えを出されていたのでしょうか。
難解な法律相談については、プロである弁護士の先輩にお任せしていました。自分は、ごく基本的な法律知識を用いて相談に乗ったりすることはありましたが、ただただ、相談に来られた方のお話を聞くようにしていました。
悩まれている方って、辛い、苦しい胸の内を聞いてもらうだけで、ちょっと気が晴れたりするんですよね。もちろん、法律を用いて問題を解決することは重要なこと。でも単純に、悩んでいる人の気持ちを聞いてあげて、少しでも軽くするということも、弁護士にとって非常に重要な仕事なんだなと……。法律相談部の活動のなかで学びましたね。
税理士としての知識もしっかり身に着け「法律も税金も任せて」と言える弁護士になりたい
ーー弁護士になられてからの注力分野についてお聞かせください。
私は、“相続税”に注力しています。“相続”ではなく、“相続税”です。
弁護士資格を取ると、実は税理士としての仕事も、法律上できるようになるんです。ですが、税務に明るい弁護士は少なく、「税金のことは、税理士の先生や税務署に聞いてくださいね」と丸投げしてしまうケースが非常に多いんです。
相続に関するトラブルでは、多くの場合税金の問題もセットでついてきます。「自分の持っている土地を子どもにあげたい」となれば贈与税がかかりますし、「親からもらった土地を売りたい」となれば、譲渡所得税がかかります。
そうした税金のことをよくわかっていないまま、案件を進めてしまう弁護士も少なくありません。弁護士が税金についての専門知識をしっかり身につけることは、依頼者のためにも、非常に重要だと考えています。依頼者の利益に直結することですから。
私は弁護士になった時、同時に税理士登録もして、地道にコツコツと税金について勉強してきました。そして今は、特に相続税について注力しています。
ーー先生は、現在、相続案件について税理士のお仕事も担当されているのですか?
そうですね。相続案件については、今は税金に関する部分を担当しています。遺産の分割の仕方によっては、税金が安くなったりするので、担当弁護士にアドバイスしたりしていますね。依頼者の方にとっても、手元により多くお金が残るほうがうれしいと思うので。
ーー弁護士の仕事をするうえで、心がけていることはありますか?
依頼者とお話する際に、法律の専門用語は使わないようにしています。例えば、法律では、「遺言(ゆいごん)」のことを「いごん」と言うんですね。そういった言葉の読み方ひとつとっても、専門用語は使わずできるだけ伝わりやすい言葉でお話するようにしています。
あとは、依頼者の方に説明するときは、できるだけ図を描くようにしています。特に、税金に関する話には、数字がつきものです。口頭で数字を並べてお話しても、依頼者の方が分かりにくいですよね。とにかく、依頼者に「分かりやすい」と思っていただけるような説明ができるよう、日々、心がけています。
ーー弁護士として活動してきたなかで、特に印象的だったエピソードをお聞かせください。
これも相続税に関する案件なのですが、「一次相続」と、「二次相続」のお話です。
ある女性が、亡くなった夫から遺産を相続しました。これが「一次相続」です。そしてその遺産を、妻ひとりが相続したと税務署に申告したようなのです。ちなみに、亡くなった夫と妻のあいだには、子どもがいました。
通常、亡くなった方の配偶者が相続する場合、「配偶者の税額軽減」という特例が適用されます。1億6000万円までの遺産を配偶者が相続した場合、相続税がゼロになるのです。このケースでも、妻は、税務署に「自分が一人で相続した」と申告したうえで、相続税を支払っていませんでした。
そして数年後、この妻が亡くなりました。残されたお子さんたちが、遺産(つまり元々は父の遺産)を相続します。これを、「二次相続」と言います。実はこの事例の場合、莫大な相続税がかかることになります。実際に、とんでもない額の相続税が、お子さんたちにかかることになりました。「とてもじゃないけど払えない」ということで、事務所に相談に来られたんです。
先ほどもお話したように、亡くなった妻は、子どもたちに何も知らせずに、夫の遺産の相続について、税務署に申告を行っていました。「自分がすべての遺産を受け取った」と申告されたんですね。その結果、妻が夫の遺産を受け取った一次相続では、相続税がかからなかったけれど、お子さんたちが母の遺産を受け取る二次相続では、莫大な相続税がかかってしまった、ということです。
ではどうすればよかったのかというと、一次相続の際に、亡くなった夫からお子さんたちへ、直接遺産を相続させるという形を取れば、ここまでの相続税額にはならなかった。
そこで私は、税務署に対して、「一次相続についての申告は、亡くなった妻が独断で行われたことである」と意見書を出し、その証拠も揃えて、一緒に提出しました。税務署との交渉の結果、莫大だった相続税の金額をかなり下げることができたんです。依頼者にも大変喜んでいただけて、非常に印象に残った案件でしたね。
相続税には申告期限がある。相談は早めに
ーー休日の過ごし方を教えていただけますか?
コロナが流行る前までは、食べ歩きが趣味でした。私は京都出身なのですが、地元にいる頃から、おいしいと噂の喫茶店やラーメン屋を、よく巡っていたんです。名古屋に引っ越してきてからも、「矢場とん」だったり、味噌カツ屋さんによく行っていましたね。今はコロナ渦でなかなか行けないのですが、落ち着いたらまた食べ歩きを再開したいですね。
ーー食べ歩き以外にご趣味はありますか?
最近は、ソープカービングにハマっています。その名の通り、石鹸を彫刻するんです。お花の形にしてみたり。今はコロナ渦で、自宅で過ごす時間が長いので、家でできる趣味を始めました。
ーー先生の今後の展望についてお聞かせください。
相続税の分野に、よりいっそう力を入れていきたいと考えています。
私が所属している事務所には、相続に関する相談もたくさん寄せられますし、相続税が発生する案件も多数あります。これからも経験を積んで、依頼者にとってより良いリーガルサービスを提供していけたらと考えています。
ーー最後に、法律トラブルで悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
「法律事務所は敷居が高い」と思われがちなのですが、そんなことは全くありません。どんな小さなことでも、お気軽に相談に来ていただければと思っています。
相続税に関して言えば、注意していただきたい点が、申告期限が10か月しかないということです。亡くなってから10か月以上経過してしまうと、無申告になってしまうのです。
ご家族が亡くなった直後は、精神的にも肉体的にもお辛いでしょうし、何かとやることも多いでしょう。いつの間にか時がたってしまって、「もう相談には行きにくいな……」と思われるかもしれません。
しかしそんなことは、全く気にされなくて結構です。我々弁護士は、ぜひとも困っている方々の相談に乗らせていただきたいと、常に考えています。どうぞお気軽に足を運んでください。