「一隅を照らす」を座右の銘に、刑事事件を専門に取り組む「どんな事件でも、どんな人でもサポートします」
憲法の講義に惹き込まれ、独学で司法試験合格を目指す
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
国家公務員を目指して総合政策学部に進学しましたが、そこで人生を変える出会いがありました。たまたま受けた憲法の講義に惹き込まれたんです。
担当した教授は、「憲法がどういう目的で作られたのか」「憲法がもっとも大事にしている価値は何か」といった話をわかりやすく面白く説明してくれて、法律に興味が湧きました。高校までに学んでいた憲法とは全く違いました。
教授の人間性にも惹かれ、講義を受けているうちに法律を扱う仕事をしてみたいと思うようになり、司法試験を目指すことを決意しました。
――どんな学生生活でしたか?
大学2年生のときに司法試験を目指すことを決めてからは、勉強中心の生活でした。私が入った総合政策学部は法律関係の講義が少なかった上に、大学に法学部もありませんでした。キャンパスの近くに司法試験予備校もなかったので、独学で目指していました。
平日は大学の講義と塾講師のアルバイト、土日は終日法律の勉強でした。4年生で大学の講義が減ってからは、ほぼ毎日、一日中勉強をしていましたね。勉強は大変でしたが、大学を卒業した年に司法試験に合格できたので、努力は報われたと思います。
司法修習での刑事裁判をきっかけに刑事事件に注力
――注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
刑事事件に注力しています。司法修習で刑事裁判を見たときに、自分の主張が認められないこともある弁護士という仕事の厳しさを感じました。同時に、刑事事件は弁護士の力量や努力が結果に表れやすい分野だと思い、興味を持ちました。
修習中にお世話になったのが刑事事件を専門にしている事務所だったので、就職するのであれば、同じように刑事事件専門の事務所に行きたいと思い、今の事務所に入りました。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
「負けてはいけない」という気持ちを常に持つようにしています。刑事事件は、警察や検察を相手にするため、組織力や経済力で太刀打ちできず、悔しい思いをすることが多々あります。ですが、そこで自分が折れてしまったら、困るのは依頼者です。「こんなことしても無駄なんじゃないか」と思ってしまったら誰も救われないので、どんなにつらくても「やれるだけのことをやる」ということを心がけています。
依頼者と接するときは、自分を出すよりも相手に合わせるようにしています。直接会って話をすれば、その人の性格や考え方というのがわかりますから、相手に合わせて対応を変えるようにしています。
――弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士になって最初に担当した事件は印象に残っています。依頼者は名誉毀損で逮捕され、道徳的に悪いことをしたのは間違いないけれど、はたして犯罪といえるのかが争点となる事件でした。
名誉毀損には「公然と」という要件があるため、悪口を言ったのが事実だとしても、それが公に広めるつもりだったのかどうかが問題になります。そのため、依頼者には取り調べで警察に問い詰められても、事実と違うことは供述しないようアドバイスをしました。可能な限り面会に行き、家族の様子を伝えたりして、依頼者の不安を減らすことに努めました。
最終的には、不起訴という結果を勝ち取ることができました。最初の事件だったこともあり、自分の活動が結果に結びついたことや、依頼者から感謝されたことがうれしく、今でもとてもよく覚えている事件です。
税の知識を身につけて、弁護士としての幅を広げたい
――休日はどのように過ごしていますか?
街歩きが好きで、何も目的を作らずにぶらぶら歩いていることが多いです。名古屋に住み始めて2年ほど経つのですが、家から事務所まで徒歩40分の道のりをいろいろなルートで歩いてみて、知らないお店を見つけたり、それまで気づかなかったものを発見するのが楽しいです。
読書も好きで、小説をよく読んでいます。最近、事件処理中に「夏目漱石の小説にこんな感じの作品があったな」と思ったときがあって、久しぶりに『こころ』を読みました。
――座右の銘を教えてください。
「一隅(いちぐう)を照らす」です。誰も注目しない、目立たないものごとに取り組むことの大切さを表した言葉です。
最高裁判事の戸倉三郎さんが座右の銘にしている言葉で、初めて聞いたときに「いい言葉だな」と思いました。
弁護士は、まさに一隅を照らす仕事ではないかと思います。刑事事件の被疑者を弁護すると、世間からは「なぜそんな悪人を弁護するんだ」と責められます。ですが、誰かがやらなければいけない仕事です。その仕事を全力でまっとうすることは、弁護士としてとても大事なことだと思っています。どんな事件であっても、どんな人であってもサポートする。そういう気持ちを大切にしたいと思い、座右の銘にしています。
――今後の展望についてお聞かせください。
もともと国家公務員を志望していたこともあり、任期付職員として役所などで働いてみたいという希望があります。そこで何年か働いて、専門的な知識を身につけて弁護士としての幅を広げたいと考えています。
関心があるのは税金関係です。税を扱っている法律事務所はありますけど、税と刑事を一緒に扱う事務所は少ないと思うんです。税金関係の知識を身につけて、税法違反などの刑事事件を扱えるようになりたいと考えています。
――法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
「まずは相談してください」ということに尽きますね。特に刑事事件の場合、「悪いことをした」という気持ちが強くて、周りに相談できない人が多いと思います。弁護士のアドバイスを受けるだけでも安心できるでしょうし、対策を練ることもできます。まずは悩まないで相談してください。