村瀬 俊高 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
これといった明確な動機があったわけではありませんが、法律学(特に解釈論)の「論理性」と「実用性」に惹かれた部分が大きかったと思います。もっとも、当初は何を聞いても読んでも全く答案を書くことができず、非常に苦しい思いをしました。
最終的には、何とか壁を抜けて弁護士になることができましたが、苦しくてもやめようと思わなかったのは、「法律学は多分理屈っぽい自分の性格と合っている」という根拠のない確信(?)があったからではないかと思います。
今までの経験と現在の仕事内容
民事事件を中心に、労働事件、家事事件、行政事件などといった、様々な事件に関与してきました。私の所属事務所では、企業側と市民(個人)側、双方の立場から事件を受任しています。
現在の事務所に入所してから数年が経ち、徐々に複雑ですがやり甲斐のある事件に関わる機会が増えてきました。手持ち事件は少ないですが、そこで問題となっている分野は国家賠償、労働、離婚、建築、商事、下請法など様々です。確立した答えのない問題に直面することも少なくありません。
「確立した答えのない問題」とは
比較的分かりやすい問題でいうと、例えば離婚の際の財産分与において、分与者が将来受領する予定の退職金を離婚時に分与の対象とすることができるか、という問題があります。将来受領する予定の退職金は離婚時には現実化していませんが、他方でこれを財産分与の対象としないとすると、分与を受ける側の保護に欠けるのではないかという問題意識が背後にあります。
また、ある国家賠償事件では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の「事業者」の意義が問題となりました。しかし、この問題について論じた先例はほとんどなく、大変難しい問題であると思いました。
弁護士としての信条・ポリシー
問題となる「生の事実」を詳細にかつ正確に把握すること、事実を把握するために手間暇を惜しまない(例えば現場を見る)ことを心がけています。例えば交通事故の場合、書面や本人の供述だけではなかなか具体的イメージを掴めません。交通事故の場合ならその発生時刻に実際に現場を見ることで、より事故の実態を具体的にイメージすることができるのです。
事件を数多く手がけていますと、生の事実を飛び越えて、どうしても求める結論から逆算して事実を把握することになりがちです。しかし、このような見方の度が過ぎると、依頼者の方の主張に沿うように、事実を歪めて認識してしまうということになりかねません。事件の全体像をしっかりと掴むために、問題となっている「生の事実」を的確に把握することを心がけています。
(注:生の事実…一言でいえば「フィルターのかかっていない事実」。当事者の主観を通した一面的な見方ではなく、より客観的な事実)
関心のある分野
名誉毀損、プライバシー、不正競争防止法、相隣関係をめぐる法律問題などです。
例えば名誉毀損の事案では、「一般の読者の普通の注意と読み方」を基準として、その表現が他人の社会的評価を低下させるものであるか否かが問題とされます。しかし、ひとくちに表現といってもその内容や(表現)方法は様々ですし、「一般の読者」がその表現から何を読みとるのかという判断も、簡単にできるわけではありません。
名誉毀損やプライバシーの問題に適切に対応できるか否かは、日頃からの知識の蓄積がものをいう面もありますので、折にふれて文献に目を通すよう心がけています。
上記以外の分野についても、最近は判例タイムズなどに注目すべき論文が多数掲載されていますので、随時それらに目を通して専門知識のアップデートに努めています。