国際事件・離婚問題に注力 「依頼者の気持ちを上向きに」精神面でもサポートし、笑顔あふれる未来に導く
学生時代から難民支援に携わる
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
もともとは弁護士ではなく、途上国の子どもの支援に携わりたいと考えていました。小学生のときに、黒柳徹子さんの『トットちゃんとトットちゃんたち』という本を読み、戦争や飢餓に苦しむ人たちの過酷な状況を知って、衝撃を受けたことがきっかけです。
「世の中はなんて不公平なんだろう」と思い、誰にでも平等にチャンスが与えられる環境をつくるために自分が力になりたいと思いました。
弁護士を目指すターニングポイントになったのは、父の一言です。大学進学にあたって進路を考えていたときに、父から「海外に行かなくても、日本国内にも困っている外国人はたくさんいるよ」と言われたんです。それまでは海外支援にばかり目を向けていましたが、確かに父の言うとおりだなと思いました。日本国内の外国人や、困っている人の力になれたらと思い、弁護士を目指し始めました。
ーーどのような学生生活でしたか。
大学では体育会のソフトボール部に所属して、全国制覇も経験しました。練習が厳しく、夏休みでも1〜2日くらいしかオフがなかったです。私が在籍していた国際教養学部は授業が全て英語で、楽な学部ではなかったので、勉強との両立には苦労しました。根性は相当ついたと思います(笑)。
法科大学院に進学してから、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のインターンに申し込み、難民支援に携わりました。このときの経験は、弁護士になった今も活きています。
たとえば、難民の方から聞き取りをするとき、気をつけないと、フラッシュバックを引き起こしてしまう場合があります。そうした二次被害を生まないために聞き取りで注意することや、難民認定申請の手続きをするときの情報の調べ方など、弁護士実務にも役立つことを数多く学びました。
国際事件とともに離婚トラブル解決にも注力
ーー注力分野を教えてください。
事務所として注力している、国際関係の案件を多く手がけています。私が所属している事務所は国際関係・外国人問題に特化しており、国際取引や国際離婚、入管事件やビザ問題など、国際関係の案件は全般的に対応しています。
その中でも、私が担当する機会が多いのはビザに関する案件です。
大学時代に1年間アメリカに留学したとき、日本にいるときとは違って、「自分はここにいていい」というベースが薄いと感じました。日本国内のいわゆるオーバーステイの外国人の方も、自分の居場所がないような恐怖や不安を感じながら生きていると思っていて。だからこそ、在留資格が取れたときの喜びはとても大きく、そういう方々の力になれたことにやりがいを感じます。
ーー一般民事では、離婚事件にも力を入れていると伺いました。
以前所属していた事務所で離婚事件を多く手がけていたので、その経験を活かしたいと思い、注力しています。
私の両親も離婚しており、離婚した夫婦の子どもの立場を経験しています。子どもへの影響を心配して離婚をためらう方は多いです。子どもにとってベストな選択は何か、当事者の目線に立ってアドバイスできればと考えています。
個別の事件の解決とともに力を入れているのが、離婚の予防です。特に、婚前契約書を広める活動に取り組んでいます。
結婚生活が始まると、本来話し合わなければならないときに話し合う時間や余裕がなく、不満をためて離婚する夫婦が少なくありません。そこで、生活費の管理方法や家事分担といった結婚後に揉めそうなことをあらかじめルール化し、婚前契約書として形に残すことをおすすめしています。
結婚前に、揉めそうなポイントについて意見をすり合わせておき、結婚後に揉める要因を減らしておけば、不満がたまって離婚にいたる可能性を減らせるのではないかと思っています。
ーー婚前契約書について、ホームページやセミナーで情報発信されています。
はい。ただ、普及させるのはなかなか難しいと感じます。女性はわりと反応がいいのですが、男性は抵抗を示す方が多いです。結婚生活のルールを決めるというと、重荷に感じてしまうのかもしれません。
パートナーに結婚契約書を作ることを提案するときは、「お互いが心地よく過ごすために、最低限の約束をしておこう」と前向きに持ちかけてみるといいと思います。
お金などの揉めそうなポイントだけではなく、「お互いが健康でいるために年1回は人間ドックを受ける」「結婚記念日は2人で外食する」といった約束事を盛り込むのもいいですね。
心も軽くなってほしい
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者からよく「弁護士事務所は敷居が高い」「緊張している」と言われるので、リラックスしていただける雰囲気作りを意識しています。
なるべく明るい気持ちになってもらいたいと思って接しています。同じ事務所の弁護士には、「深刻な相談が多いはずなのに、森上さんの相談室からは笑い声が聞こえてくる」と驚かれたこともあります(笑)。
依頼者の中には、事件後もメールのやりとりが続いている方もいます。離婚事件の依頼者で、再婚することが決まって結婚式に呼んでくださった方もいました。親しみやすいと感じていただけているなら、すごく嬉しいですね。
ーープライベートについても伺います。ご趣味はなんですか。
社交ダンスを4年くらい続けています。まだまだ初心者レベルなんですけどね。仕事だけだと人生を十分に楽しめないなと思って、自転車やゴルフなどいろいろ試してみたのですが、最終的にダンスに落ち着きました。
ーー今後の展望を教えてください。
婚前契約書の普及には今後も力を入れていきたいです。もうすぐセミナーも開催する予定です。
カウンセラーの勉強もしています。依頼者の中に、気持ちがなかなか上向きにならない方がいらっしゃったんです。でも、カウンセリングの手法を取り入れてお話をしていく中で、「少しずつ前向きになってきたな」と感じるようになりました。法律面だけではなく、精神的にも依頼者をサポートできればと思っています。
ーートラブルを抱えている一般の方へのメッセージをお願いします。
1人で悩みを抱えていると本当にストレスが大きいと思います。でも、専門家に相談することで、そのストレスはかなり減るはずです。
何日か前にマッサージを受けて、すごく気持ちよかったんですね。そのときふと気づいたのですが、マッサージの金額と私に相談する金額って、あまり変わらないんですよ。
悩みを抱えている方にとって、弁護士に相談することはマッサージ以上の効果があると思います。複雑に絡まった状況を整理して解決の見通しがつけば、頭も心も軽くなるはずです。ほんの少し勇気を出して、弁護士のもとに足を運んでほしいなと思っています。