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外回り営業マンの「サボり」はどこまで許される? クビになるのはどんなときか
勤務時間にもかかわらず“サボる”ことは許されるのだろうか

外回り営業マンの「サボり」はどこまで許される? クビになるのはどんなときか

「外回りの営業マンは、多かれ少なかれ仕事をサボっています」。ある営業職の会社員はこう語る。「ちゃんとノルマをこなしているので問題ないと考えているのですが、会社にバレたら、クビになりますか?」。

平日の喫茶店や映画館では、ヒマをつぶしている様子の、営業マンらしき人物を見かけることがある。なかには家に帰って寝たり、買い物など私用を済ましたり、パチンコや風俗店に行ったりする強者までいるというから驚きだ。

彼らは「結果を出していれば、何をしようと自由なはず」と主張するかもしれないが、勤務時間にもかかわらず"サボる"ことは許されるのだろうか。また、会社側はそうした勤務時間中の"サボり"を理由に、社員を懲罰にかけたり、解雇することはできるのだろうか。労働問題にくわしい古金千明弁護士に聞いた

●「サボり」は契約違反になる

「従業員は会社との間で労働契約を結び、労働の対価として賃金の支払を受けることになります。従業員は労働契約に基づき、勤務時間中は、使用者の指示に従って労務を提供する義務を負います。

これは、外回りの営業マンであっても同様ですので、勤務時間中に『サボる』ことは労働契約の債務不履行に該当することになります」

古金弁護士はこのように指摘する。やはり、営業マンというだけでサボりが許容されるとは言いがたいようだ。会社からの懲罰もあり得るのだろうか?

「従業員の勤務時間中の『サボり』は懲戒事由になりますので、使用者である会社が就業規則に基づく懲戒処分(戒告、けん責等)を行うことは可能です。

ただし、会社が行う懲戒処分の内容は、従業員の非違行為(回数、程度、期間、態様等)と均衡がとれたものである必要があります」

●職場の秩序を大きく乱せばクビもあり得る

そうなると、「サボり」でクビ、というケースもあり得るのだろうか?

「たとえば、1回、2回程度の『サボり』だけを理由に懲戒解雇をすることは、懲戒処分として重すぎます。裁判になった場合には、解雇権の濫用として、懲戒解雇が『無効』と判断される可能性は高いと思われます。

ただ、『サボり』行為が相当回数繰り返され、かつ、会社が注意を行ったにもかかわらず、従業員が反省の態度を示さずに『サボり』続けたようなケースは、話は別です。そうして職場の秩序を大きく乱すような事態になれば、懲戒解雇や普通解雇が認められる場合があります」

古金弁護士はこのように指摘し、注意を呼びかけていた。いつからいつまでが「勤務時間中」とみなされるかどうかは、労働契約の内容や会社の制度によって違う点もあるだろうが、もし会社から注意を受けた場合は、働き方を見直したほうがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

古金 千明
古金 千明(ふるがね ちあき)弁護士 天水綜合法律事務所
「天水綜合法律事務所」代表弁護士。IPOを目指すベンチャー企業・上場企業に対するリーガルサービスを提供している。取扱分野は企業法務、労働問題(使用者側)、M&A、倒産・事業再生、会社の支配権争い。

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