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「結婚の予定はありますか?」 採用面接で質問するのは問題ないか?

「結婚の予定はありますか?」 採用面接で質問するのは問題ないか?

就職や転職の採用面接ではさまざまな質問が応募者にぶつけられる。なかには個人のプライバシーに踏み込んだ質問もあるが、女性に対する「結婚の予定はありますか?」という質問もその一つだ。

このような質問に対してどのように答えたらいいのか、迷ってしまう女性は多いようだ。面接での印象が悪くなるのを恐れて、実際には結婚を前提に交際している相手がいても、そのことを口にしない場合もあるという。

企業側からすれば、結婚や出産を機に女性社員が退職したり休職したりする場合が少なくないことから、そのような可能性を把握しておきたいということだろう。だが、そもそも企業が「結婚の予定」を聞くことは問題ないのか。セクハラやプライバシー侵害にあたらないのだろうか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いてみた。

●「結婚の予定」の有無は、就業上の能力と関係ない

「採用する側は、応募者を採用するかどうか判断する過程で、応募者から一定事項について申告を求めるなどの調査をすることができます。とはいえ、その調査も、応募者の人格的尊厳やプライバシーなどの関係で、一定の制約があると考えられています。

その観点から、男女差別に該当したり、個人の尊厳やプライバシーを侵害するような調査質問や申告を求めることは、相当でないということになります」

では、女性の応募者に対して「結婚の予定はありますか?」と質問することは、個人の尊厳やプライバシーを侵害するような調査にあたるのだろうか。

「採用に際して、女性の応募者だけに『結婚の予定』を聞くことは、男女雇用機会均等法の趣旨に反するなどして、不相当といえるでしょう」

このように波多野弁護士は述べたうえで、次のように付け加えた。

「『結婚の予定』の有無は、就業上の能力などに関係があるとはいえず、むしろ個人的なプライバシーに関することであるといえます。したがって、そもそも男性・女性を問わず、採用に際して『結婚の予定』を聞くこと自体、適切ではないと評価される可能性は十分にあると思われます」

つまり、「結婚の予定はありますか?」という質問を、女性の応募者だけにすることは、男女雇用機会均等法の趣旨に反するといえるうえ、そもそも、採用選考で「結婚の予定」を聞くこと自体が適切とはいいがたいということだ。

企業側が、優秀な人材を確保しようと、応募者にさまざまな質問をぶつけることは構わないが、「結婚の予定」など、個人のプライバシーに踏み込んだ質問は控えたほうが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

波多野 進
波多野 進(はたの すすむ)弁護士 同心法律事務所
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。

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