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すき家「ワンオペ」9月末で解消へ――約500店舗が「深夜閉店」の可能性も
ゼンショーホールディングスの小川賢太郎会長(7月31日撮影)

すき家「ワンオペ」9月末で解消へ――約500店舗が「深夜閉店」の可能性も

牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスは、深夜帯(午前0時〜5時)に1人で店舗に勤務する「ワンオペ」を9月末で終了させることを明らかにした。10月以降は2人以上の体制で運営し、人員を確保できない店舗は、深夜時間帯の営業をやめる。

「ワンオペ」については、労働環境の過酷さや、強盗など防犯の観点から問題があると指摘されてきた。すき家の労働実態を調査した第三者委員会(委員長:久保利英明弁護士)も7月31日に発表した報告書の中で、「深夜時間帯における一人勤務体制(ワンオペ)の解消を早急に実現すべきである」と提言していた。

●「ワンオペ」解消ができない店舗は「深夜閉店」

ゼンショーの広報によると、7月末の店舗数は1984店で、このうち半数の約940店で、現在も深夜帯に「ワンオペ」を行っている。今後、新規採用を進めたり、店舗間での従業員の配置を調整することで、9月末までに「ワンオペ」の解消を図る。

同社が7月31日に開いた記者会見では、ワンオペ解消の時期について明言していなかったが、「9月末」という時期を明確に設定し、8月6日に報道陣に明らかにした。

同社広報の話では、現在「ワンオペ」状態の約940店のうち、半数にあたる約470店で「ワンオペ」を解消できる見込みだという。しかし、残り半数については目処が立っておらず、10月以降、深夜帯に「閉店」となる可能性があるとのことだ。

つまり、新規採用などの対策が思うように進まなければ、500店近くが「深夜閉店」に追い込まれるかもしれないというわけだ。

●「深夜帯のバイトは集まりにくくなっている」

「ワンオペ」解消による売り上げの減少や、人材採用コストの上昇などが予想されることから、2015年3月期の連結税引き後利益は、13億円の赤字に転落する見込みだ。コスト増などの影響により、牛丼も8月27日から値上げする予定で、「並盛」の価格(税抜き)が250円から270円にアップする。

できるだけ多くの店舗で「深夜営業」を継続するためには、新規採用を進めなければならない。しかし、報道を通じて「ブラック企業」との印象が社会に広まっており、募集は容易ではない。

ゼンショーホールディングス広報室の廣谷直也マネジャーは、弁護士ドットコムの取材に対し、「深夜帯のクルー(アルバイト)は学生やフリーターの方が中心だが、報道の影響もあって、集まりにくくなっている。従来のやり方では難しいので、留学生への声かけなどを、これまで以上にやっていくことになるだろう」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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