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「盗品を返さなかったら顔写真を公開する」 まんだらけの「警告」は問題ないのか?
まんだらけのホームページに掲載されていた警告文

「盗品を返さなかったら顔写真を公開する」 まんだらけの「警告」は問題ないのか?

マンガやグッズの中古ショップ「まんだらけ」が8月5日に公式サイトで行った「万引き犯への警告」が、話題を呼んでいる。同社のサイトに、巨大な赤いフォントで、次のような警告メッセージが掲載されているのだ。

「8月4日17時頃まんだらけ中野店4F変やで25万円の野村トーイ製鉄人28号 No.3 ゼンマイ歩行を盗んだ犯人へ」「1週間(8月12日)以内に返しに来ない場合は顔写真のモザイクを外して公開します」

この警告文の下には、左肩にカバンをかけた人物の写真が大きく掲載されており、顔の部分にモザイクがかけられている。

かなりインパクトのある「警告」だが、ネット上には「間違いだったらどうするの?」「あれ脅しの域超えてる」など、店の行為を疑問視する声もある。このような「警告」の方法を、法律の専門家はどう見るだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。

●「脅迫罪の可能性」

「『(盗品を返さなければ)窃盗犯としてモザイクを外して顔写真を晒す』と警告する行為は、人の名誉に対して害を加える告知をしているといえるので、店側が脅迫罪(222条1項)として処罰される可能性があります。ただちに止めるべきです」

仮に、相手が犯人である、明らかな証拠があっても、ダメなのだろうか?

「もちろん窃盗犯は、刑事・民事上の法的責任を負わなければなりません。しかし、だからといって、犯罪に対して犯罪で応じてしまっては、法秩序は成り立ちません。したがって、このような手法を容認することは許されません」

●警察に「被害届」と「証拠」を提出するべき

すると、店はどうすべきなのだろうか?

「店として行うべきことは、警察に被害届を出した上で、証拠であるこの画像データも提出することです。画像データが鮮明で犯行の瞬間を捉えていることを警察が確認できれば、犯人の情報提供を求めて公開捜査に踏み切ることも期待できます」

●「すぐにでも取りやめるべき」

「まんだらけは、漫画や各種グッズなどを買い取って販売する店で、これは『古物商』とよばれる営業形態です。古物商として営業するためには、古物営業法にもとづく公安委員会の許可が必要です。禁錮以上の刑に処せられた人は、許可を取り消される場合があります(同法6条)。

まんだらけは上場企業ですし、このような犯罪まがいの警告を行って、警察ににらまれるような事態を招くことは、重大な経営リスクだと思います。すぐにでも、表示を取り止めるべきでしょう」

足立弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

足立 敬太
足立 敬太(あだち けいた)弁護士 あい弁護士法人富良野・凛と法律事務所 旭川OFFICE
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に複数の分野を取り扱う。「常に相談者・依頼者様の視点に立ち、分かりやすい説明を心がけています」

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