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「ギャラを示さない仕事」に峰なゆかさん困惑、フリーランスはどう対処すればいい?
峰なゆかさんのツイート

「ギャラを示さない仕事」に峰なゆかさん困惑、フリーランスはどう対処すればいい?

「ギャラがわからない」「無償」。フリーランスで仕事をする人のもとに舞い込む、そんな困った依頼に対応する方法を、元AV女優で、漫画「アラサーちゃん」の作者として知られる峰なゆかさんがツイートし、話題となった。

峰さんはこれまで、ギャラの額が明記されていない仕事依頼メールに対して「『ギャラを教えて下さい』の一文だけ返信するシステムにしていた」そうだ。さらに最近は「『後学のため、なぜ仕事の依頼にギャラを書かないのか教えて下さい』と付け足すようにしている」という。

このツイートに対して、ツイッターでは、フリーランスで働く人たちが反応。「ギャラ書かない仕事多いよね」と言った声が多く寄せられた。

一方で、仕事を発注する立場とみられる人は、「最初から金の話は無粋」と考える人がいることを指摘。その人の会社では、ガイドラインで「ギャラは伝えるに及ばず」となっており、著者から金額を尋ねられた場合だけ、「一文字あたり約●円」と伝えているのだそうだ。

フリーランスで仕事をする人に仕事を依頼する場合、発注側はギャラを明記する必要があるのだろうか。「聞きづらいけど知りたい」フリーランスの人は、どう対処すればいいのだろうか。下請法に詳しい新井哲三郎弁護士に聞いた。

●フリーランスは「下請法」で保護される

「フリーランス契約は下請法で保護されます。発注側は、ギャラを明記する義務があります。

具体的には、発注する側には、下請代金を明記した書面を交付する義務があります(下請法3条1項)。発注側がこれに反すると、場合によっては罰金等の処分を受けることがあります」

新井弁護士はこのように述べる。ただ、仕事を請け負う側が「ギャラを明示してくれ」と強気に出ることが難しいケースもあるのではないか。

「そうですね。たしかに、ギャラが明示されないまま仕事が進んでしまい、蓋を開けたら思っていた以上に低額だったというケースもあるでしょう」

そうした場合は、契約の無効を主張したり、ギャラの上乗せを主張できたりするのだろうか。

「残念ながら、ギャラの明示がなかったという事情だけで、契約を無効にしたり、適正な支払を請求できるわけではありません。

ギャラが明示されなかったこと、ギャラがあまりにも低額だったことが公序良俗に反すると言える場合に、発注者側に違法性が生じることになるでしょう」

●さりげなくギャラの明示を求める

具体的には、どうやって対処すればいいのだろうか。

「対処法という点から考えた場合、やはり後から権利を争うのは困難です。

『聞きづらい』と遠慮するのではなく、峰さんのように『ギャラを教えて下さい』と聞いてみることが一番だと思います。

また、うまく人のせいにするのも一つの手です。たとえば、『顧問弁護士の指導で、下請法3条の書面をもらわないと怒られるんです』などと説明して、さりげなくギャラを明示するよう発注者側に求めるのもスマートな対処法かもしれません」

新井弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

新井 哲三郎
新井 哲三郎(あらい てつさぶろう)弁護士 新井哲三郎法律事務所
ひとりひとりを大切に、あなたのベストパートナーを目指します。「出会ったときより笑顔になれる」よう、迅速かつ丁寧に解決を図ります。あなたの抱えている問題を、一緒に解決していきましょう。

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