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ボクシング統括団体の元事務局長「解雇無効訴訟」で勝訴「現事務局長は首謀者の一人」
日本ボクシングコミッション・元事務局長の安河内剛さん

ボクシング統括団体の元事務局長「解雇無効訴訟」で勝訴「現事務局長は首謀者の一人」

日本のプロボクシングを統括する団体「日本ボクシングコミッション(JBC)」の事務局長を務めていた安河内剛氏(54)が、降格処分を受けて事務局長の座を追われ、さらに懲戒解雇されたことについて「無効だ」と訴えていた裁判で、JBCが2審でも敗訴した。東京高裁(石井忠雄裁判長)が6月17日、JBC側の控訴を棄却したのだ。1審に続き、安河内氏が受けた降格・配置転換・解雇の処分はすべて「無効」とする判決を下した。

安河内氏は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「速やかに事務局長として職場復帰したい」と話した。

●怪文書をきっかけに、降格処分へ

この問題は2011年4月、「安河内氏に不正経理疑惑がある」とする怪文書がばらまかれたことに端を発する。1審判決などによると、この不正経理疑惑は「なかった」と、JBCの調査委員会によって結論づけられた。

ところが、安河内氏を排除しようとした一部の職員らが「JBCとは別に、プロボクシングの統括団体を立ち上げる。ただし、JBCが安河内氏らを排除すれば、現状維持を考える」とJBCの幹部に迫った。その結果、安河内氏は2011年6月、降格・配置転換処分を受けて、事務局長の座を奪われた。安河内氏は2012年5月に降格・配置転換の無効訴訟を起こしたが、翌6月に解雇を告げられた。

2014年11月の1審判決は、この降格処分について、「浦谷(※浦谷信彰・現JBC事務局長)らによる新団体の設立を盾にした要求に対し、被告(JBC)が分裂を回避するために、浦谷らの要求を受け入れ、原告(安河内氏)を被告(JBC)から排除することを主たる目的として行ったもの」と判断。降格処分は違法・無効だとした。

配置転換も同じく無効とされた。さらに解雇についても「解雇権の濫用で無効」と判断した。そして、今回の2審・高裁判決でも、降格・配置転換・解雇は全て無効と判断された。

●「スポーツ組織としてあるまじき行為」

安河内氏は、一連の騒動について「JBCは事務局長に権限が集中している組織です。私が事務局長就任以来、改革を行ってきた中で、反発、不信感があったのかもしれない」と振り返りつつも、「何が起こったのか。今回の判決文には全部、記されています。理事や評議員の方にも、それを全部読んでもらって、現事務局長は首謀者の一人となっていますので、そういう人物と並列させる状況というのは、一刻も早く解消してほしい」と話した。

また、自分以外に3人の職員が解雇されたことにも憤りを感じているとして、「安河内に親しい、安河内の味方をしている。そういう非常に単純で幼稚な発想で、何の理由もなく、3人を排除したということが、スポーツ組織としてあるまじき行為だと思います」と力を込めた。なお、この3人はJBC側との裁判で和解し、すでに組織を離れているという。

この判決が確定すれば、JBCには安河内氏と浦谷氏という「2人の事務局長」が併存することになる。もしそうなれば、JBC側は難しい判断を迫られることになりそうだ。

安河内氏は「どんなことがあっても復職をしたいという思いで、3年間頑張ってきた。お金の問題ではない。トップとしての英断をしてもらいたい」と話していた。

JBCは弁護士ドットコムの取材に対し、「判決文が届いていないので、現時点でコメントは控えさせてください。判決が届いて、それを精査した後、声明を出す可能性があります」と答えた。

(弁護士ドットコムニュース)

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