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「非番」の消防署員が「出動拒否」で問題に・・・「休日」とは違うのか?
過酷な現場で働く消防署員だからこそ、心休まるひとときが欲しい

「非番」の消防署員が「出動拒否」で問題に・・・「休日」とは違うのか?

新潟県五泉市の住宅街で6月21日(土)早朝、木造住宅を含む計8棟が全焼し、1人が死亡する火災が起きた。ところが、この日、出勤していなかった消防署員にも「出動要請」があったにもかかわらず、そのうちの8人が飲酒などを理由に要請を断っていたことがわかり、問題になっている。

五泉市消防署によると、8人の署員は火災前日の20日(金)から1泊2日の予定で、他の自治体職員との野球大会に参加。夜には市内の旅館で酒を飲んだ。火災は21日(土)午前4時すぎに発生し、同署は署員に招集をかけたが、「酒が残っているため車を運転できない」といった理由で、全員が招集に応じなかったという。

この問題を報じた毎日新聞は、「出動拒否:非番8人、消火より懇親野球?」との見出しをつけ、出動要請に応じなかった8人に批判的な記事を掲載した。だが、「非番」と聞くと、一般企業でいう「休日」にあたり、完全に休んでもいいような気がする。消防署員の場合は、出動要請があれば、必ず応じなければならないのだろうか。

●「非番」と「休日」は、似ているようで違う

同市の消防職員服務規程は、「非番」について次のように定めている。

「勤務を要しない日に当たる職員(非番の職員)は、火災その他の災害を覚知したときは、別に定めるところにより、参集しなければならない(13条)」

つまり、「非番の職員」は、基本的には勤務しなくてもいいが、火災などの非常事態が発生したときは、出動要請に応じなければならないのだ。しかし、非番は「休日」とは違うのだろうか。同署の佐藤志信署長は次のように説明する。

「消防活動にあたる職員の多くは、いつ火災が起きても対応できるように、朝8時30分から翌朝8時30分までの24時間の勤務(当番)をしています。

その勤務のあとの24時間が、いわゆる非番にあたります。非番の日は、出勤する必要はなく、拘束されていないというだけで、休日という扱いではありません」

非番と休日は同じようにみえるが、規則では明確に区別されているようだ。ただ、同署では、非番の際に招集に応じなかったとしても、特に処分が設けられているわけではなく、飲酒を禁止しているわけでもないという。今回も「不適切な行為」だとして、口頭注意しただけだ。

では、休み(公休)の場合はどうなのだろうか。服務規程に記載はないが、佐藤署長は「火災が起きている以上、公休でも、緊急時には招集に応じなければならないだろう。今回は1人が亡くなる大きな火災だった。署員のモラルが問われている」と嘆いていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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