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ノンスタ石田さんが苦言、ライブ内容を勝手にまとめる「ライブレポ」は法的に問題?
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ノンスタ石田さんが苦言、ライブ内容を勝手にまとめる「ライブレポ」は法的に問題?

お笑い芸人のライブの内容をまとめ、ブログやSNSなどで報告する「ライブレポ(ライブ・レポート)」。そんなライブレポについて、お笑いコンビ「NON STYLE」の石田明さんがブログで、「やめてほしい」と訴えている。

石田さんは1月上旬、「ライブレポって大嫌い」と題したブログ記事を公開。ライブレポについて、「僕は一言一言にこだわって舞台に出てます。うろ覚えで文字に起こすのは言語道断。『舞台を観に来れない人のために』などという意見もうけつけません」と述べている。ライブレポによってライブの様子が不完全な形で伝わってしまうことが許せないようだ。

その上で、「そのライブを活字で伝えるなら僕本人です」として、ライブレポをやめるよう訴えた。お笑いのライブで、コントや漫才の内容をライブレポとしてブログなどで公開する行為は、法的に問題ないのだろうか。知的財産権の問題に詳しい雪丸真吾弁護士に聞いた。

●同一性保持権の侵害にあたる可能性

「石田さんの訴えは法的にも全く正当なものです」

雪丸弁護士はこのように切り出した。

「石田さんの作るネタのセリフは著作物と評価されますが、著作物を創作した著作者には、『同一性保持権』(著作権法20条1項)という権利が与えられます。次のような条文です。

『著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする』

著作者にとって自分の作品はとても大事なものですので、これを勝手に変更されてしまってはたまりません。

不完全なレポートを見た読者に『NON STYLEのライブつまらない』と思われてしまうのは、石田さんもさぞ無念でしょう。

このような著作者の想いを保護するために、著作者の意思に反して作品(著作物)を改変してはいけないのです。

不完全なライブレポの公開は、同一性保持権の侵害となります」

具体的には、どんな法的責任を負う可能性があるのだろうか。

「同一性保持権の侵害に対しては、著作者は損害賠償請求や差止め請求が可能です。

また、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科される犯罪行為でもありますので、気をつけましょう」

●完全に再現した場合でもアウト

不完全なものが違法ということは、一言一句ネタのセリフを完全に再現したレポートであれば、問題ないのだろうか。

「それはそれで、複製権や公衆送信権といった著作権侵害にあたるので、許されないことになります」

雪丸弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

雪丸 真吾
雪丸 真吾(ゆきまる しんご)弁護士 虎ノ門総合法律事務所
著作権法学会員。日本ユニ著作権センター著作権相談員。慶応義塾大学芸術著作権演習I講師。2021年12月、実務でぶつかる著作権の問題に関する書籍『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』第5版(中央経済社)を、2018年8月、『コンテンツ別 ウェブサイトの著作権Q&A』(中央経済社)を出版した。

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